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歌集「春雪花」
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 秋の夜の

  夢に渡るか

   ひとり寝の

 君の心に

  在らぬわが身を



 秋の夜長…きっと夢さえも長かろう…。
 だとしたら…私が彼の夢へと渡れないだろうか…。

 そんなことを考え…溜め息をついて床に入り目を閉じる…。

 しかし…彼の心に、もはや留まることさえない私が、彼の夢へ渡るなぞ出来ようか…。


 それでも…彼の夢へ渡り…彼に会いたい…。



 さめざめと

  落つる雨音

    静かなる

 閨に降らせし

    想い侘しき



 涙をながし続けているような…そんな淋しい雨音…。

 一晩中降り続けるのだろうか…静かな部屋に入り込む雨音は、彼への想いを募らせて…。

 どこにも置き所のない恋心…雨音に響き…私の心を掻き乱す…。


 いつかは…晴れるのだろうか…。




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