764部分:第六十二話 三姉妹、書から離れるのことその一
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第六十二話 三姉妹、書から離れるのことその一
第六十二話 三姉妹、書から離れるのこと
三姉妹は今自分達の天幕にいた。そこは流石に立派なものだった。
赤い絨毯が敷かれ幕も絹だ。それを天幕の中で飾ってだ。その中で大きな円卓に座ってだ。そのうえで三人でその卓を囲んでお菓子を食べていた。
その中でだ。張角が妹達に尋ねた。お菓子は四角く黄色い麦を焼いたものだった。
「このお菓子美味しいね」
「そうね」
張梁が姉の言葉に応える。
「このお菓子何ていったっけ」
「カステラよ」
それだとだ。張宝が答える。彼女もそれを食べている。
「それよ」
「カステラなの」
「そう。カステラ」
こう話すのだった。
「バイスさんとマチュアさんが作ってくれた」
「あの人達ってお菓子作れたのね」
「そうみたいね」
張角と張梁が二人のことを話す。
「御姉ちゃんそういうことは駄目だけれど」
「姉さん自分でお料理したことある?」
「ないよ」
あっけらかんと答える張角だった。
「そういうことはね」
「でしょ?それじゃあ駄目よ」
「だって。私食べる方が好きだから」
それが理由だというのだ。
「そういうのは」
「全く。そんなことだから」
「駄目だっていうの?」
「そうよ。姉さんもしっかりしないと」
「だって。御姉ちゃんしっかりしたこと一度もないのよ」
「だから。それが駄目なのよ」
張梁は呆れた顔で姉に言う。三人はこの状況でも呑気なものだった。
そしてだ。外での騒ぎが耳に入ってだった。
「あれっ、外が騒がしいよ」
「何かしら」
張角と張梁その騒ぎに気付いて顔をあげた。
「まさか官軍?」
「遂に来たとか」
「少し見て来る」
張宝がここで言った。
「姉さん達は待ってて」
「うん、それじゃあ」
「人和、御願いね」
「わかったわ」
こうしてだった。張宝が見に行った。二人は相変わらずそのカステラを食べ続ける。暫くして張宝が顔を曇らせて天幕に戻ってきて言う。
「姉さん達大変よ」
「まさか官軍!?」
「本当に来たの!?」
「官軍が来たのは確かみたいだけれど」
それはもう察している張宝だった。だがここではだった。
「けれど」
「けれど!?」
「何かあったの?」
「来てみて」
こう姉達に言う張宝だった。
「大変なことになってるから」
「大変なことって」
「だから何よ」
「いいから。とにかく来て」
こう言って姉達を連れ出す。そして目の前にだ。袁術達を見たのだった。
「な、何よあれ!」
「歌ってるの。あの娘達が」
張宝はこう張梁に話す。
「そうしてるの」
「あの娘達凄く上手いね」
張角は無邪気に自分の手と手をその胸の前で組み合わ
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