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和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する
第二部 北斗杯編(奈瀬明日美ENDルート)
第40話 再戦の望み
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H14年4月後半 中国北京 囲棋天地 side-toya koyo
囲棋天地という雑誌を出版し碁会所と囲碁用品の販売をしている会社の本拠に中国囲碁界の発展に多大な貢献をしたある日本人棋士の記念室がある。
額縁に飾られた写真や書を眺めながら塔矢行洋は若くして亡くなった盟友に思いをはせる。
盟友が亡くなってからは遺志を継ぎ、中国には毎年のように若手を連れて訪問し、もう10回以上も続けていた。しかし近年は国内のタイトル戦の日程などが厳しく少し足が遠のいていたのも事実だ。
彼と共に中国を訪問していたころの中国側の熱気はすさまじかった。対抗戦が終わるとホテル側の制止を振り切り大挙して押しかける。彼の講評を深夜まで拝聴するためだ。
この中から育った王星、劉安、陳学明を始め多く棋士が今やトッププロとして活躍している。彼らが「先生こそ、中国碁界の大恩人です」と□をそろえてくれるからこそ中国で私が温かく迎えられている。
対面の椅子に座る徐彰元も韓国に訪問した彼から多くを学び故人を先生と慕っている。
「中国リーグは独特の熱気がありますね。深センでのチーム対抗のリーグ戦は面白かったですし、少し昔を思い出しました」
「こちらの記念室は初めてですか? 塔矢さんは」
「はい。一昨年に記念室が設置されたのは存じていましたが、国内タイトル戦の日程が厳しく来れずじまいで」
「ここで一般の人も碁を打つことができます。いい所でしょう?」「ええ」
「まだ時間が早くお客が一人もいませんから、おかげで塔矢さんとのんびり話せる」
「徐さん、まさか私とのんびり話すため帰国を遅らせて深センからこちらに?」
「そうですよ。あなたが観光の私の家に滞在されていた時はずっと碁漬けでしたからね」
「我が家で研究会を開くなど最近はありませんでしたが、連日だれかれが集まって来て大変でした」
「あのときはお世話になりました」「いやいや、とんでもない」
「それにしても驚いたのは、あなたが1人で街の碁会所に通ったことですよ。
賭け碁で随分と稼いでおられましたね。ハハ」
「皆、私の顔を知っていましたが憶するどころか挑戦的でしたよ」
「ハハ。目碁ですから普通の勝ち負けで支払う賭け碁とは違います」
目碁なら整地する時の地合いの目数によって金額が変わるので相手が上手であっても置き石次第では勝機もある。
「そうですね。何人もと勝負したが、おとなしい碁は一局もなかったな」
「……塔矢さん、引退して変わられましたね?」
「自由な時間が増えたのでおかげで好きに生きている。それだけです。言ってもお酒だけは控えておりますが」
「ハハハ。たしかに先生は酒、ギャンブル、借金、女性関係など随分と破天
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