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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
759部分:第六十一話 袁術、歌で仕掛けるのことその七
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第六十一話 袁術、歌で仕掛けるのことその七

「愛紗はいつも五分前行動なのだ。けれど今は時間きっちりだったのだ」
「うむ、実はな」
「実は?」
「姉者が落ち込んでいてな」
 夏侯淵も来た。彼女が一同に話すのだった。
「そのせいで馬の進みが今一つだったのだ」
「春蘭殿が」
「そうだったの」
「その通りだ。歌えなくて気落ちしていてな」
 夏侯淵はこのことも話した。
「そのせいでなのだ」
「春蘭さんって歌えたの?」
「姉者はあれで歌が好きだ」
 夏侯淵が話す意外な事実だった。
「それも乙女心を歌うものが大好きなのだ」
「何か意外にも程があるのだ」
 張飛は夏侯淵のその話を聞いて実際に眉を顰めさせている。
「あいつが乙女なんて考えもしなかったのだ」
「姉者はあれで少女趣味なところがあるのだ」
 さらに話される衝撃の事実だった。
「だからだ。歌もだ」
「とにかくそれでなのですか」
「少し遅かったの」
「その通りだ。姉者のことは許してくれ」
「いや、それはいいのですが」 
 楽進はそれはいいとした。しかしであった。
「ですが」
「ですが?」
「春蘭殿は大丈夫なのですか?」
 彼女が心配するのはこのことだった。
「見たところ」
「ううむ、姉者はあれで落ち込みやすいからな」
 見ればだ。当人は話す一行から少し離れた場所で落ち込んでいた。すっかり小さくなってその場にしゃがみ込んでしまっている。
 それを見ながらだ。一行は話すのだった。
「後でな。慰めが必要だな」
「そうですか。やはり」
「今夜の伽は姉者に譲ろう」
 具体的にはそうするというのである。
「致し方あるまい」
「それは仕方ないことなのだ?」
「本来は私が今夜の華琳様のお相手だったのだが」
 夏侯淵は顔には出していなかったが声には僅かに出していた。
「だがそれもだ」
「そこでそんな話になるのが本当に曹操軍なのだ」
 そんなことを言いながらだ。張飛は関羽に話した。そうしてそのうえでだった。一行は車に乗った。そうして黄巾軍の陣に向かった。
 彼等は穏やかなものだった。特に騒いでいる様子もない。
「また歌ってくれるんだよな」
「ああ、午後もな」
「やってくれるってさ」
 呑気にだ。こんな話をしている程だ。
「舞台開いてな」
「歌ってくれるからな」
「じゃあ今は待つか」
「そうするか」
 こんな話をしているだけだった。彼等は平和であった。
 見れば武器も持っていない者も多い。鎧もだ。そうした呑気な状況だった。
 その彼等はだ。それぞれ三姉妹のグッズや飴を持っている。どう見ても戦う様な状況はない。それは車の上に立ったままの趙雲にもわかった。
「ふむ、これは」
「どうなんだ?星じゃなかった華蝶仮面」
「相手
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