暁 〜小説投稿サイト〜
和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する
第二部 北斗杯編(奈瀬明日美ENDルート)
第03話 中国語教師
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があったからうっかりしていた。

 そこで桐嶋和や奈瀬のことは口に出さずに、去年の夏に北京に旅行に行ったこと。

 北京観光ついでに緒方先生の紹介で中国棋院に遊びに行ったこと。
 
 そこで楊海八段と出会って語学好き同士で意気投合して仲良くなったこと。

 楊海八段や王星九段と一緒に美味しい中華料理を食べたことなどを話した。

「楊海とは今も定期的にメールで連絡とってるよ」「ホントですか!?」

 椅子がガタッってなりそうな雰囲気で思いっきり話に食いついて来たアキラくん。
 気のせいかもしれないが目がキラキラしてような気がする。

 それにしても楊海がアキラくんの憧れの棋士だなんて意外だった。
 漫画でそんな描写なかったよね?
 北斗杯で楊海に中国語で挨拶してたけど、普通に憧れの棋士にあって実は緊張してたとか?

 アキラくんは楊海に憧れてることは今まで誰にも話ことがないらしい。
 揶揄われるのが嫌だから緒方先生や他の人には黙ってて下さいと念押しされた。
 まあ僕だって話を聞いて市河さんばりに「アキラくん、かわいー」とか素で思ったもん。
 普段のクールで大人っぽい姿を知ってるからこそのギャップ萌えか。

 もしかしたら海外に留学する可能性があることを伝えた上で家庭教師になることを引き受けた。

 別に対価なんていらなかったんだけど、事前にネットで語学教室のレッスン料などを調べていて、プロとして自分が稼いだお金でしっかりと対価を払って勉強したいと言われたら断ることはできなかった。

 この世界に来て岸本空という、いち個人が初めて誰かに頼られた気持ちになった。

 奈瀬の場合は力を貸しているのは僕ではなくノートパソコンの囲碁AIソフトの和-Ai-だし、心のどこかで元の世界に帰るために利用しているという後ろめたさがあった。

 塔矢アキラの中国語教師。

 この碁の神様のいる世界で僕が元の世界に帰るという目的とは別に初めて選んだ役割だった。
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