アージェント 〜時の凍りし世界〜
第二章 《暁に凍る世界》
ドキドキ!?温泉パニック!!A
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ただジッと見詰めてくる白兎=ミミに、三人もおそるおそる、といった風に近付く。
「可愛いね、触ってもいいかな?」
フェイトが興味津々といった様子で近付くと、ミミは怪しまれない程度の跳躍力を発揮して、フェイトの胸に飛び込んだ。
「わっ!?」
反射的にミミを受け止め、抱き抱える状態になったフェイト。この時点で、ミミの作戦は90%まで成功していた。
「え……えっと……どうしたらいいのかな?」
「う〜ん……取り敢えず旅館の人に聞いてみようよ。ひょっとしたらここで飼ってるのかもしれないし。」
ひとまずなのはの提案通り、フロントに向かう事にした三人。まずは直近の脅威の排除に成功し、ミミは心の中でガッツポーズを決めつつ、次なる作戦を練るのであった。
「ふぅ………」
肩まで湯に浸かり、体の中の澱みを追い出す様に大きく息を吐く暁人。この黒駒谷に湧き出る温泉には、確かに多量の魔力が含まれており、ことに、この松風屋の源泉はそれが顕著であった。
「成程……これなら傷の治りも早くなる、か。」
当初は効果に懐疑的であった暁人だが、実際に入ってみる事で評価を改めた。この分なら治った時には、以前より丈夫になっているだろう。
「おまけに……」
暁人の視界の端には氷雪(当然水着着用)がやはり湯船に浸かり、そのまま溶け出しそうなくらいに幸せそうな顔をしている様が映っている。
「……いつ以来だろうな、氷雪があんな顔をするのは。」
この四年間というもの、氷雪は極力笑顔を絶やさない様にしていたが、心の奥底の寂寥や苦悩を隠すには、彼女は未だ幼すぎた。言動の節々に顕れるそれらに触れる度、暁人は己の無力を責めた。
しかし、今、この時ばかりは、氷雪は心の底からこの幸福を受け止めている。それだけでも此所に来た価値はあったと暁人は思う。同時にこれを提案した、恩人でもある親友の慧眼に恐れ入る暁人だった。
「……全部終わらせれば、こんな日も増えるんだろうな。」
氷雪の治療を終えても、既に亡き両親が戻ってこない以上、氷雪の悲しみを全て埋める事はできないのだろう。しかし、病が無くなれば、悲しみを忘れて楽しめる様な日々が、今よりずっと増える筈であった。
「……まぁ、今は忘れるか。折角氷雪が笑ってるんだからな。」
(今のところ順調……順調ですが……)
フェイトの腕に抱かれたままで、ミミは次なる策を巡らす。この松風屋の間取りからすると今は三人の部屋に向かっている様であった。
(このままでは時間稼ぎにしかなりませんね……少し大胆に行きましょう。)
思うが否や、ミミはフェイトの腕の中で、器用に体の向きを変えると、服の襟元から顔を中に突っ込んだ。
「ひゃ
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