753部分:第六十一話 袁術、歌で仕掛けるのことその一
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第六十一話 袁術、歌で仕掛けるのことその一
第六十一話 袁術、歌で仕掛けるのこと
荀ケはだ。この夜は真田小次郎達と共に飲んでいた。自分の天幕の中に彼女達を招いてだ。そのうえで飲みながら彼女の話を聞いていた。
「あんたも大変だったのね」
「そうでしょうか」
「御兄さんのこと、大切に思っていたのよね」
彼女の兄のことをだ。それを話すのだった。
「それで御兄さんの意志を継いで」
「けれどそれは」
「あんたが選んだ、それが凄いのよ」
荀ケは真剣な顔で小次郎に述べる。
「私には。そこまではね」
「そうですか」
「あんた、何があっても生きなさい」
荀ケはまた小次郎に告げた。
「それが御兄さんにとってもいいことだからね」
「だからですか」
「そうよ、あんたもね」
荀ケは今度は鷲塚を見た。そこには覇王丸もいる。
「小次郎のこと知ってたのよね」
「無論」
鷲塚は真剣な面持ちでだ。その通りだと答えた。
「だからこそこうして真田殿と共にいる」
「あんたも。その一徹さはね」
「いいというのか」
「誠ね」
荀ケの言葉はここでは一文字だった。
「あんたのその誠、それも凄いわよ」
「そうなのか」
「正直ね。私男嫌いなのよ」
自分のその嗜好をだ。荀ケは露わにさせた。
「けれどね。あんた達はね」
「嫌いではない」
「そう言ってくれるんだな」
鷲塚だけでなく覇王丸も応えた。
「我等のことは」
「そうなんだな」
「そうよ。確かに褥を共にとかはないけれど」
あくまで男相手にはだ。それはないというのだ。
「けれど。その心を見てるとね」
「済まぬな」
「そう言ってくれるか」
「そうよ。覇王丸もよ」
今度は覇王丸への言葉だった。
「恋人のこと、本当は」
「ははは、それは言ってくれるなよ」
「そう言うのなら言わないわ」
荀ケも微笑んで応える。
「あんたの言葉じゃね」
「しかし叔母上も」
荀攸もいた。彼女は叔母のその横顔を見ながら微笑んで話してきた。
「変わられましたね」
「変わったかしら」
「前は殿方は誰も近寄せませんでしたね」
「それはそうだけれど」
「けれど今は」
「だから。こうしてその心がわかったらね」
覇王丸たちを見ての言葉だった。
「どうしてもよ」
「それに頷きざるを得ないと」
「そうよ。私だって人の心がわからないわけじゃないのよ」
それを話すのだった。
「だからよ。そういうことなのよ」
「成程、そうでしたか」
「そうよ。ところでね」
「はい、ところで」
「私のことを叔母さん呼ばわりは止めなさい」
姪にだ。咎める顔で言った。
「私はまだ華の十代なのよ」
「一応十八歳以上ですよね」
「そうよ
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