蒼雷の恋慕 FINAL
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それでも……前もって一言くらい教えてくれてもよいではないか。事前に準備が出来て居ればこれほど羞恥心が刺激されることもなかったであろうに!
「ねぇ王さま、どうやったら出来るのかな!」
「大声でそのようなことを言うでない。今の時間帯を考えろ!」
夜中に騒いだらご近所に迷惑であろう。この手の話をする時間帯としては正しいのかもしれぬが、そういう意味では絶対に正しくない。
酒宴の席だとかなのはの家のように一軒家ならばまだ良いかもしれぬが……いや我が居る段階で良いとは言えんが。
「ご、ごめん……それで子供ってどうやったら出来るの?」
「それはだな……その…………男と女が」
「男と女が!」
「互いに……になって……してだな。それで……をしたり……」
「王さま、何て言ってるか聞こえないよ?」
分かっておるわ。聞こえないように言っておるんだからな!
でも仕方ないであろう。我は保険の教師でもなければ医者やその手のカウンセラーでもないのだぞ。男女の営みを事細かく堂々と説明できるわけないであろうが。経験したことだってないのだし。
ま、まあ……経験があったからといってすんなりと説明できるかと言われたら微妙ではあるが。しかし……前に母君が営みは最も幸福を得られる時間のひとつだとか、夫婦間では大切なことと言っておったからな。経験すると価値観や考えも変わるのかもしれん。
とはいえ、すぐに経験できるわけではないが。我には恋人は居らぬし……き、気になる者が居らぬわけではないが。だがあやつとの関係は友であって……それ以上になりたい気持ちはあるが我は素直になれぬ。
そう……結局我は小鴉よりも遥かにヘタレなのだ。普段どんなに尊大に振る舞っていても意中の男のことになると踏み込む勇気のない小心者よ……。
「王さま? 何だか泣きそうな顔してるけど大丈夫? お腹でも痛いの?」
「いや、そうではない……己の不甲斐なさが嫌になっただけだ」
「そんなことないよ!」
「……レヴィ?」
「王さまはどんなことも一生懸命努力するし、口うるさいところもあったりするけど、人のために怒れる優しい王さまだもん。今日だって突然のボクのお願い聞いてくれて、言いにくいことも頑張って教えてくれようとしてて……はっきりしないところもあったけど、でもその王さまはボクの憧れなの! 不甲斐なくなんてない!」
どうにも勘違いされているような気もしないでもないが……そう言われてしまってはいつまでも女々しくしているわけにはいかんな。ちょくちょく気に障りそうなことを言われた気がしたが、そこをネチネチと指摘するのは人が悪いというものだろう。
「レヴィ……我が悪かった。ここからは誠心誠意お前の質問に答えることを約束しよう。ただ……子供に関してはその……またあとにしてくれ」
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