1.Nの疾走/探偵で走り屋
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をしながら私たちにも出してくれた黒いお茶のような物を飲んでいた。っと、あったあった。
「単刀直入に言うわ。即刻立ち退いてもらうわね。はいこれ権利書」
ブー!と彼は飲んだ飲み物を吹いていた。心揺れない生き方はどこへ行ったのやら。
「ゲホッゲホッ、って、何だって?」
少し荒っぽい声に変わった。そっちが素なのね。
「私はここの管理人、つまり大家なのよ。よくわからない探偵もどきさんには即刻退去してもらうわ」
私がそういうと、彼は権利書をマジマジと見ていたが、次第に落ち着きを取り戻したのか最初の口調に戻した。
「……いけねーな。近所の女子中学生が、ハードな裏社会の大人をからかっちゃ」
「中学生ってのはよく分かんないけど、言っておくけど、私は人里に住んでないし、おまけに十八よ」
「……………うそーん」
しばらくあんぐりと口を開けていたが、ハッとすぐ我に戻っていた。
「博麗霊夢。なるほど、あの名高い博麗の巫女様か」
「そうよ」
彼は権利書を見ながら考え込むように片手の親指を額に当てていた。
「二つ質問させてもらう。一つは、俺の記憶が正しければこの家に住まわせてもらうときに慧音からは「空き家だから好きに使ってくれ」と言われたんだが?二つは、博麗の巫女お預かりだったとして何で五年も放置してたんだ?」
「あんた、ただの探偵として人助けするくらいなら別に構わなかったわ。でも、あんた妖怪退治までしてるじゃない。それで家の仕事が減って商売上がったりなのよ」
「それで、管理人の権力で商売敵を潰すと。いやー、どこでも社会は汚いねー」
「そう言わないでやってくれ。霊夢の博麗神社はあまり賽銭客がこねーからマジで金がなくて食いっぱぐれ状態なんだ」
「分かってるよ。なら、妖怪退治しなけりゃ良い」
そう言い完結させ、また飲み物を口に含んだ。
だが、まだ終わらせられない。噂の謎の妖怪について聞かなければならない。それを聞こうとしたとき、玄関がノックされた。
「二人とも、今はここまでだ。依頼人だ」
「戸上洋介。もしかして彼氏?」
彼の言葉に、依頼人の彼女は俯きながらもコクンと首を縦に振り頷いた。彼女は都村真理奈。依頼の内容は人捜し。捜索相手、戸上洋介とは互いに仕事で知り合った仲らしい。
「連絡が途絶えてから、もう一週間もたつんです」
確かに、それはそれは。
「お願いします!彼を捜してください」
彼女は涙を溜めながら、頭を下げた。よほどその彼氏が心配なのだろう。私には無縁なことだろう。
彼女の言葉を聞き、客用の机から別の場所にある自分用の机から立ち上がり、後ろに引っかけてあったソフト帽を被った。
「任されたぜ。今日はもう帰っときな」
これが後に『戸上洋介
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