シンキングファストボール
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「夏の悲劇か・・・」
別室ですでにスーツに着替え終えていた剛は穂乃果たちが読んでいたネットニュースを見ていたようで、思わず苦笑いをしている。
『佐藤、涙を堪えきれずマウンドを降りていきます。しかし、ここまでよく投げました!!胸を張ってくれ!!』
二人に肩を借り、涙を拭いながらゆっくりとマウンドを後にする背番号7。それをマウンドに集まっている東日本学園の内野手たちは、懸命に涙を堪え目を充血させ、見送っていた。
「二度とあんなことさせるかよ、ふざけやがって」
自分の無力さを痛感し、あれほどまでに後悔した試合はない。その出来事がもう一度起きるのではと危惧する声に、彼は面白くないと苛立っていた。
「剛さん!!お待たせしました!!」
そこへ制服に着替えてやってきた選手たち。その顔を見て落ち着きを取り戻した剛は、立ち上がって全員を集める。
「まずは全国出場おめでとう、よくやった。ただ、まだ目標を達成したわけじゃないからな。気を抜くなよ」
「「「「「はい!!」」」」」
ここから先まだ関東大会は続く。次は第三シードの千葉経済学高校。そして勝てば次はおそらく春の選抜優勝校UTX学園。強豪校と次々に戦えるとあって、全員の気持ちは熱く燃え上がっていた。
翌日・・・
カキーンッ
「あ、行ったわね、これ」
バックネット裏から準決勝第一試合を観戦していた音ノ木坂ナイン。そのうちの一人、絢瀬絵里が4番打者の放った打球を見てそう言う。
ゴツ
その言葉通り、打球はバックスクリーンに直撃し、先制のスリーランホームランとなった。
「3番優木あんじゅ、4番統堂英玲奈、5番綺羅ツバサ。このクリンナップはやっぱり強力だね」
「えぇ。全員がホームランを打つ力を持っているんだもの。相手からしたら堪ったもんじゃないわよね」
全国でも常に結果を残し、『常勝軍団』と呼ばれる実力校。その戦いぶりに、見惚れるしかなかった。
「穂乃果、アップに行きましょう。もしかしたらコールドがあるかもしれません」
「うん、そうだね」
関東大会では全ての試合においてコールドゲームが存在する。甲子園予選では決勝のみコールドがなくなるが、女子では試合日程が男子より詰まっていることも考慮され、決勝でもコールドゲームを採用しているのだ。
「それにしてもすごいニャ。まるで子供と大人って感じで」
「そう?私の方が全然いいバッターよ」
「よく言うわね、ポップフライの方が多いくせに」
「なんですって!?」
「まぁまぁ」
睨み合う真姫とにこを宥めることり。そんな様子を見ていた希が、あることを話し始める
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