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転生も転移もしていない私が何故ファンタジーの世界で魔王と呼ばれる事になったのか。
更に夜はふける
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だって汗水垂らして肉体労働に従事するよりも、エアコンが効いた室内で企業戦士等と潰しが利く肩書きを得つつ日々の糧を得る方がいいに決まっている、そして後の事を考えればどちらの業種が豊かな老後を過ごせるかは議論にもならない話である。

 自分の体を資本に、年を取れば生活に不安が残る、少子化が進めば公共的な補助は期待できず、個人の財力がモノをいう。

 結果、労働力は便利な暮らしが用意され、ホワイトカラーが幅を利かせる都市圏へ偏り、地方の農畜漁業という業種はどんどん衰退していき、日本と言う国は食料自給率という部分を激しく低下させていった。

 そんな日本の事情とは逆に一部の国に於ける人口は増大の一途を辿り、結果として慢性的な食糧難という救えない状況が世界に蔓延しつつあった。


 かくして食という面に於いては贅沢かつ無駄が顕著な日本という国は、誰言うでも無くモラルも安全性も二の次にして食料確保の為になりふり構わない行動を起こすハメになる。

 その手段の一つにDNA組み換え食品という物があった。

 当初は主食に関わる米から小麦、他はエネルギー転換出来る穀物を中心にそれは行われ、それが軌道に乗れば肉や魚へ波及し、食料自給率がある水準を超えた時は、質、味の向上という形でどんどんそれらは改変を繰り返す。

 生きる為では無く、利便性と欲求解消の為に際限なく自然という言葉も存在も犯され続ける事になる世界。

 政府主導と、それを支持する国民感情、それは企業間の技術的な部分を基にしたシェアの奪い合いという競争を生み出し、少し昔では禁忌とされてきた行いでも研究という形であれば堂々と行える程、様々なモラルのハードルを下げる結果となった。


 そんな中研究されていたある細菌、従来の物よりも早く動物の成長を促し、また手軽に扱えるという物をコンセプトに生み出される筈だったそれは、使用時対象に強い毒性を発生させ、それが連鎖的に広がるという致命的な欠陥が判明した為、失敗と言う事で破棄される事になった。

 それは公式の記録上そういう扱いになったが、裏では目的とは違う特性を見出された為に別の部門が引き継ぎ研究が進められる、そんな安い週刊誌が扱いそうな陳腐かつ致命的な経緯を辿り、その細菌は色々と特性を持つ劇物へと変貌していった。

 結果、安い週刊誌が扱いそうなネタは、パニック映画の題材宜しく取り扱い不備というヒューマンエラーを元とした事故で世に放たれ、それを隠蔽しようとした企業努力があれこれと細菌を変異させるという悪循環を辿り、一連のあれこれが世間の知る物となった段階では時既に遅し。

 そんな訳で人類はめでたく滅亡の道を辿ったのだという。


 さて、この陳腐な人類滅亡の物語にはまだ続きがある、ここからの話はパニック映画ではなく
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