第十九話 紹介その十
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「非常にいいことですね」
「そうだな、じゃああいつが間違って変な病気になっても」
今後そうした店で遊んだ結果としてだ。
「そうなってもか」
「とりあえずは安心出来ます」
「梅毒で死んだらな」
それこそというのだ。
「無残だからな」
「身体に斑点が出来膿が生じ鼻が落ち腐っていく」
「髪の毛も抜けていってな」
「骨の髄や神経まで蝕まれていきます」
「そんな死に方は見たくないからな」
「そのことがないだけです」
「この世界は俺達の世界の昔よりいいみたいだな」
梅毒が助かるだけでもというのだ。
「結核もそうだし教会の横暴もなくて」
「そうですね、ただ魔物がいて巨人も出ます」
「いいことばかりじゃないか」
「どの世界でも同じですね」
「いいこともあれば悪いこともある、か」
「そうなります」
順一は聡明さを感じさせる声で智に話した。
「結局どの世界も一長一短でしょう」
「まあ当時の日本や中国も悪い部分もあったしね」
源三も言っていきた。
「今の日本だってそうだし」
「一長一短か」
「いいところもあれば悪いところもあるよ」
「どの世界も場所もか」
「その人の合う合わないはあるけれれどね」
「そういうものなんだな、まああいつについてはな」
久志のことをだ、智はまた話した。
「どういう顔で帰って来るかだな」
「逃げ帰ってきたりしてね」
源三は笑ってだ、こうしたことを言った。
「実はとんでもない人で」
「それもあるな」
「そう、お姉さんは可愛くてもね」
とても歳相応には見えないまでにだ。
「それでもね」
「実際はだな」
「その言ってることは姉妹だからっていう贔屓が入っていて」
所謂補正だ、その要素がかなり強く入ってしまっていて久志に可愛いと紹介したというのだ。
「けれど実は」
「そうした話あるからな」
「それもよく」
智と順一も言った。
「身内同士ですと情が入りますので」
「そうなるな」
「だからですね」
「ひょっとしたらか」
「そうかもね、まあ僕達は待とうよ」
明るく気さくな感じでだ、源三は今この場にいる二人の仲間に言った。
「彼をね、そして待つ間はね」
「どうするんだ?」
「飲まない?」
そうしつつ待とうというのだ。
「ワインでも飲みながらね」
「ああ、ワインあるのか」
「うん、それもかなり美味しいのがね」
「そうか、それじゃあな」
智が最初に乗った。
「飲みながら待つか」
「おつまみにチーズやソーセージがあるよ」
「それは何よりです」
順一は肴を聞いて笑顔になった。
「それでは」
「楽しく飲みながらね」
「吉報を待ちましょう」
「吉報でもそうでなくいてもいいんじゃない?」
「面白いお話ならですか」
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