第六章 Perfect Breaker
魔術師の起動
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い。
あの時理樹を投げながら咄嗟に後ろに飛んだのが功を期したようだ。
とはいえ、身体は動かない。
もはやまともに力の入らない四肢だが、瞳だけは開くことができた。
吹き上がる魔力。
起動された術式。
それが実体を伴うまで、もはや数秒の猶予もない。
今すぐ動かなければ終わりだ。
刹那
「―――――――――――!!!!」
蒔風は叫んだ。
声は出ない。音もない。喉は震えるほどの力を残していない。
だが、その翼は確実に大きく広がり、その咆哮を轟かせたのだ。
爆発する地面。
蒔風のもとに向かっていた理樹は、驚愕した。
蒔風がまだ立ち上がれる。
あの男は、どんなにダメだと思えるような状態でさっそうと現れ、どれだけボロボロでも確実に勝利する男だ。
だが同時に、恐怖した。
セルトマンに新たな動きがあったわけではない。
かといって、あの状況で立ち上がる蒔風に、命の危機を案じてでもない。
そう言った思考を抱いた、自分自身にである。
蒔風が飛ぶ。
獅子天麟を組み上げ、龍虎雀武をその刃に取り付ける。
今ある中で組み上げた十五天帝。
それを振るい上げ、銀白の閃光と化してセルトマンを打ちのめす―――――!!!
「起動には成功した」
その様子を眺め、セルトマンは冷静に告げる。
「だが、起動したものはきちんとした場所に置かなければならない。なんだってそうだ、起動すればそれでいいわけじゃない」
そして、ここから見える中で「一番高いビル」を指さしてこう言ったのだ。
「あそこに、いい置き場があるじゃないか」
迫る蒔風の頭を、セルトマンは踏みつけていた。
セルトマン到達まであと一瞬であった蒔風からすれば、まさに蒼天の霹靂。
そのままそこを足場にして、セルトマンが跳躍した。
突進力の分だけ、横からの衝撃には弱い。
まさしくそれを体現するかのように、蒔風が二度目の地面への激突をした。
顔面から地面に突っ込み、めくり上げさせて吹き飛ばす。
そして、セルトマンは「EARTH」ビルの内部に突入した。
最初のオフィナの攻撃でヒビの入ったガラスは容易く砕け、侵入者を容易に招き入れてしまう。
「総員退避だァッッ!!!」
ショウの咆哮。
それと同時に、「EARTH」ビルを囲むように魔法陣が出現した。
それはセルトマンが描いていた物と同じ魔法陣。
ただ、ビルを囲むだけあって巨大だ。
そして、それを構成する小さな円の中から、何かがニョロニョロと幾つも、檻で囲むように伸びてきた。
形容するには「泥」と
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