サラトガ救出作戦〜下準備〜
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と撫でてやる。鎮守府最高錬度のウチの嫁さんは今回留守番だ。毎朝梳いてセットしている頭がグシャグシャになってしまっているが、そんな事を気にする余裕も無いらしい。そんなに人望無いかね?俺。そんな今生の別れと勘違いしそうなシーンに、パタパタと大淀が駆け込んで来た。
「提督、ブルネイ政府からの回答来ました!上陸部隊に先んじて、病院船3隻を作戦海域に向かわせるそうです」
「あいよ、聞いての通りだ。鎮守府に残るメンバーで護衛艦隊を4つ編成、病院船の護衛に当たれ。帰りの大事な足だ……沈められるなよ?」
そう、これがブルネイ国王に頼んだ策だ。トラックから逃げ出した避難民の救出の為に、ブルネイ政府が病院船を出す。そしてその護衛任務を正式にウチが受注する。そうすりゃ大手を振ってトラック泊地周辺まで近付けるって寸法さ。それに、事態の収拾に焦って何処かの国が核ミサイルぶっ放そうにも、ブルネイが『人道に基づく支援』として出した病院船を巻き込んだりしてみろ?国際問題どころか、アメリカが国際社会から孤立するまで有り得る。要するに余計な横槍を入れさせない為の盾でもあったりするんだがな。
「よっしゃ、そろそろ出発しようかい」
俺の声を合図に、上陸部隊の面々が輸送機に乗り込んでいく。全員が乗り込むと、ゆっくりと滑走路を走った後にふわりと離陸する。さて、トラックまでの間だけだが空の旅を楽しむとしよう……窓とか無いけどな!
「あのー、司令?」
「あん?何だよ青葉」
離陸してから少しして、青葉が俺に声をかけてきた。他の連中は本格的な陸上戦闘が初めてでガチガチになってるってのに、青葉の表情は何故か気まずそうだ。
「青葉、ちょ〜っと……いえ、ものすご〜く場違いな気がするんですけど」
青葉の出で立ちは他の連中とは丸っきり違う。頭には防弾ヘルメット、左肩からショルダーバッグを提げ、その反対側にはコンパクトなビデオカメラ。どう見ても戦場に戦いに行くというよりは取材に同行してる報道関係者にしか見えない。
「いやぁすげぇ似合ってるぞ?戦場カメラマンぽくて」
「そうじゃないですよぉ!何で青葉だけ戦闘モードじゃなくて取材モードなんですかっ!?」
「まぁまぁ。実はお前の撮る映像こそ、ウチの切り札なんだからよ」
「ふぇ?それって一体どういう」
「ま、お前が生きて帰ってこれたらな?」
「何でそんな巨大な死亡フラグを立てるんですか司令!」
「いやまぁ、普段から迷惑被ってるから……意趣返し?みたいな」
「ひどいっ!?けど言い返せないのがまた辛いっ!」
こうやってからかってはいるものの、青葉の撮影する映像が戦闘後の切り札になるかもしれないというのは本当の事だ。その為にも青葉の事は守ってやるさ
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