期を逸したお蔵入り短編
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真実が見えない。
当たり前だと思い考えもしなかった全ての本質を見失い、いつも自分の判断が正しいのかをどこかで疑っている。それは、暗黒に包まれた夜道を心許ない篝火を頼りに進むようだ。全ての真実は目に見えず、姿形は手探りで少しずつ確かめるしかない。
人生とはそういうものだ、と、ある命の恩人が語っていた。
ならば、その人生を続けながら答えを探すしかない。
だから、俺は夜道を歩む者になったのだ。
不意に目を落とすと、そこには鈍い光沢を放つ金属製の右腕があった。
拳を握りしめると、きしり、と小さく軋む。メジェド様と恩人の二人から受け取った右腕だ。
暫くそれを見つめた俺は、メジェド様の用意した朝食を食べるためにリビングの方へ向かった。
メジェド・ファミリア唯一の眷属――Lv.4の冒険者、ガウル・ナイトウォーカー。
種族はヒューマン、年齢は27歳。血を吸ったような赤黒い髪を小さく揺らす彼を、人はかつて彼を『紅い嵐』と呼び、現在は『鉄腕』と呼んでいる。
しかして、彼の本当の実力を知る者は別の名前をしばしば口にする。
『夜魔』、と。
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