暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
ペルソナ3
1816話
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戦闘は基本的に自分を成長させる為だというのは分かっているのか、やがて少し躊躇いながらも召喚器を頭部に当てる。

「イオ、ガル!」

 召喚器のトリガーが引かれるとの同時に召喚されたイオは、騎士のシャドウに向けて風の刃を放つ。
 魔法を使う時に自分の意思だけである程度は魔法の発動形態を変えられるのが、このペルソナ世界の魔法の特徴だ。
 だが、やっぱりデフォで使った方が一番使いやすいのも事実だろうし、イメージ的にも風の刃というのは楽なのだろう。
 そんな風に放たれた風の刃は、騎士のシャドウを多少ではあっても斬り裂く。
 そしてガルを放ってシャドウが消えたのを見計らい、次にゆかりが選んだ攻撃手段は、弓。
 ショートボウに素早く矢を番え、放ち……

「え!?」

 ゆかりの表情が、唖然としたものに変わる。
 当然だろう。真っ直ぐに空気を斬り裂きながら飛んでいった矢が、騎士のシャドウに触れた瞬間に弾かれたのだから。
 これには、俺も驚いた。
 いや、騎士型のシャドウだけあって、向こうは鎧を着ているのだ。
 そう考えれば不思議ではないのかもしれないが……今まで戦ってきたシャドウとの戦いでは、こんな風に矢が弾かれるという事はなかっただけに、俺から見てもちょっと意外だった。

「くっ!」

 ゆかりも、まさか自分の射った矢が弾かれるとは思わなかったのか、悔しそうにしながら再びショートボウに矢を番え、射る。
 だが……空気を斬り裂きながら飛んでいった矢は、予想通りに鎧に命中すると、金属音と共に弾かれる。
 攻撃が2度連続で無効化されたが、それでもまだ向こうは鬼眼の効果によって壁に体当たりを繰り返している。
 ……てっきり盲目かと思ってたんだが、これだと幻覚とかの可能性もあるか?

「落ち着け、ゆかり。あのシャドウは、どうやら弓の攻撃を無効化するらしい。であれば、それ以外の攻撃手段で攻撃しろ。1つの攻撃手段に拘るのは、自分で戦闘の選択肢を少なくしている事になるぞ」
「それは……うん、分かった。……何よ」
「いや、何でもない」

 まさか、こうもあっさりと俺の提案を受け入れるとは思わなかったので、驚いたのだが……その表情を、ゆかりにはしっかりと見咎められて、不満そうな言葉と共に尋ねられる。
 もっとも、まだあの騎士のシャドウが生きていて、戦闘中だというのはゆかりも理解しているのか、それ以上の追求はなかった。
 
「イオ、体当たりよ!」

 そう叫びつつ、召喚器を頭部に当ててイオを召喚するゆかり。
 召喚されたイオは、ゆかりの指示に従って真っ直ぐに騎士のシャドウに向かって突っ込んでいく。だが……

「きゃっ!」

 上がった悲鳴は、当然のようにゆかりのもの。
 牛の頭蓋骨に乗った、鎖で縛られた女。

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