第4章:日常と非日常
閑話10「中学校生活」
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ようやく馴染んできたように見えたの」
アリシアの言葉に、僕は考えを巡らす。
“馴染んだ”…その言葉が表す意味は…。
「…そうか、僕は前世では社会人。司も高校生途中までの授業過程は終えている。…つまり、“二度目”になるんだよ」
「あー、そういえばそうなるんだね」
前世についての話はアリシアももう知っている。だから訳は話せる。
霊術で認識阻害を張っておいたから、他の生徒とかに聞かれる事もないだろう。
「中学だからか、そこまで来たからかは分からないが、それまではどうしても馴染み切れなかったんだろうな。何せ、もう終わったはずの事。見せかけてもどこか綻びがある」
「…ん?…んん?」
…あ、やばい。アリシアが理解しきれなくなってきた。
自論を広げるのは悪い癖だな。理解が及ばない場合もあるっていうのに。
「まぁ、あれだ。アリシアが感じた違和感のようなものは、僕らが二度目だったからだ。その違和感のようなものが、ここでようやくなくなったって感じだ」
「あー…そう言う事かぁ…」
「自分ではもう馴染んでいたつもりだったんだけどなぁ…」
納得するアリシアと、そうだったのかと呟く司。
ちなみに司には僕も同意見だ。
「…それなら、そこまで気にする事でもないか。じゃあ、私達も準備をして道場に行こう。遅れたら承知しないよー?」
「それはそっちも同じだぞ?」
「じゃあ、優輝君。また後でね」
二人と別れ、僕も更衣室に向かう。
ふと、思い返すのは学校での日常。
適度に授業やテストをこなし、クラスメイトや教師と会話したりする。
“テレビでこんな事をやってた”、“最近こういう事が”…etc
他愛もなく、問題もない何気ない日常。
魔法関連の事が合間にあったとしても、やはり平和なものだった。
つい一年ほど前まで大きな事件などに巻き込まれてたからだろうか。
そういった感慨深さはふと思っただけで強く湧いてきた。
「……よし」
あの時、転生させられて。
普通の日常はもう歩めないものだとは思っていたけれど。
…こうして、平和な時間はちゃんとある。
「あっ、早い…!」
「まだまだだなぁ。アリシア“先輩”?」
「わぁ、煽るなぁ…」
着替え終わり、二人が来てから僕はそう言い放った。
…この光景も、また一つの“日常”。
ただただ平和を享受する、何気ない日々。
アリシアが言っていた“馴染んだ”と言う言葉は、何も二度目だったからではない。
こうした平和を、気兼ねなく享受しているからそう見えたのだ。
「優輝君?」
「ん、なんでもないよ。じゃあ、行くか」
道場に向けて、僕らは
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