第4章:日常と非日常
閑話10「中学校生活」
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「っ、このっ!」
「っと」
あれから数分。僕は反撃はせずに受け流すだけにしていた。
いやぁ、いくら正当防衛だからって、怪我させるのは…ね。
ただ、殴りに掛かってこけるのは自業自得だけど。
「はぁっ、はぁっ……なんで当たらねぇ…!」
「んー、あまり言いふらす事でもないけど、一つ教えてあげる。僕と司がなぜ弓道の上達が早く、こうして攻撃が当たらないのか…ね」
聡も大丈夫だと思っているからか、教師が来るまでまだ時間がある。
攻撃は全部受け流していたので、既に残っているのは同じ弓道部の一人だけだ。
「武術、それと武道では“重心”が関わってくる。その重心を理解し、コントロール出来れば、こうして攻撃を受け流す事もできる…っと」
「くそっ…!」
半身をずらすように拳を躱す。
もう我武者羅な殴り方なので、本当にあっさり避けれる。
「僕と司はちょっとした伝手で、そういった武術に通じていてね。そこで重心についてしっかり学んであるんだ。だから上達も早いし、攻撃も当たらない」
「くっ…ぁああっ!!」
「ほいっ…と」
殴り掛かってきた拳を受け止めるように受け流し、こかせないようにしながら僕と彼の位置を入れ替える。
「実を言うとアリシア……テスタロッサ先輩も僕らと同じで武術に通じてるよ。だから、今はああやって皆を指導する立場にいるんだ」
「なっ……!?」
衝撃の事実だった…と言うより、単に想像しづらくて驚いただけだろう。
実際、普段のアリシアからは武術らしい気配はないからな。歩き方はともかく。
「っと、それよりも時間だ。…ってあれ?」
こちらに来る四つの気配。一つは聡で、他二つは教師。
なら、後一つは?と思えば…。
「これは…一体どういう状況なんだ…?」
「あー、やっぱりこうなってたかぁ」
「……司?」
そう、司だった。司も別の場所に呼び出されたはずだけど…。
「今更…っていうか、前にも言った気がするけどさ、お前弱点あんのか?」
「全然焦ってない割には随分な言い様だな聡。一応、多対一には弱いぞ」
「説得力ねぇぞこの状況!?」
僕の周りには、数分前まで囲っていた男子生徒達が息を切らして倒れ込んでいる。
ついでに言えば、先生が来た事で全員、顔を青褪めさせている。
怪我は自爆した以外ではさせてない。まぁ、無駄に体力は使ったようだけど。
…まぁ、これも多対一だし、聡の言う事は尤もだ。
「…あー、とにかく、こうなった経緯を説明しろ、志導」
「あ、はい」
こめかみを押さえながら言う先生に、僕は軽く状況を説明した。
「なるほど、聖奈と同じか」
「あ
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