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逆さの砂時計
Side Story
少女怪盗と仮面の神父 47
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供に気を遣わせて、優しかった人の願い一つも叶えられず、与えられた罰も、アルフィンの気持ちを利用して体よく手放した。
 自分はいったい、何をしてるのか。
 どうして生きているのか。
 どうして生かされているのか。
 (……静かだ……)
 海の彼方をじっと見つめ続ける小さな背中が、何故か黒く染まっていく。波音や鳥の声がどんどん遠ざかり、暖かさも冷たさも、肌を撫でる風の感触さえも消え去って。
 (ああ、そうか……。これは……)
 最後に残った思考は
 (……凪……、だ……)
 少女の歌も謝罪の言葉も響かない、底無しの暗闇に堕ちて……溶けた。
 

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