最終章:夢を追い続けて
第57話「終わる学園」
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ってきてそう話しかける。
話しかけられた者...一夏は、静かに返事を返した。
「傷はいいのか?」
「もう動けるぐらいには回復している。...IS学園の技術様様だ。」
「...そうか。」
現在一夏は車椅子を使っている。普通に歩くとなると、傷が痛むからだ。
「...なぁ、お前はさ、浮かれた事とかあるか?」
「なんだ?藪から棒に。....そうだな.....ない、な。身近に桜さんとかがいたから、浮かれるような事なんてなかった。いつも上回られるからな。」
「...そうか。羨ましいな。常に上を目指し続けられる意志を持てて。」
疲れ切ったように、一夏は嘆息する。
今までの自分を振り返って、今更ながら後悔していたのだ。
「...俺は、前世も、お前に成り代わった今でも、俺は堕落し続けた。...少し考えれば、“原作”に沿うなんて無理なのは分かっていたはずなのに。」
秋十が生まれ、桜やマドカがいる。
この時点で、“原作”と違う事から、一夏は目を逸らしていた。
その結果が、今である。
「俺は...ただの馬鹿な人間だった...。大した努力もしない癖に思い通りにならなかったら癇癪を起して...そのままずるずると堕落するだけだった。...今世でもそうだ。“洗脳”なんて外道な能力を望んで、そこまでして思い通りにして....こんな最低な人間、裁かれるのが当然だってのに...。」
「...後悔、してるんだな。」
「ああ、してるさ...!死んでしまいたいぐらいにな...。でも、それじゃあダメだ。犯した罪は償わないといけない...。」
ただただ後悔し、涙を流す一夏に対し、秋十は上手く言葉を出せない。
「俺は...いつも気づくのが遅すぎる...。人生が詰んでから気づくなんて、馬鹿だろう...。どん底にまで落ちないと気づけないなんて...。」
「........。」
一夏は、目の前に広がる光景がどこか遠くのものに見えた。
もう後戻りはできない所まで来たのだと自覚したからだ。
「...千冬姉から聞いたが、しばらくは更識家の者が護衛に就くらしい。あんたも、元がつくとはいえ男性操縦者だ。無防備に置いておくと利用される。」
「....そうか。」
「....まだ、詰んだ訳じゃないぞ。」
「え....?」
秋十の言葉に、一夏は思わず顔を上げる。
「これからの行動で希望が見えるかどうかは....あんた次第だ。過ちに気づいたというのなら、もう間違えるなよ。」
「.......。」
そういって、秋十は皆のいる場所へ戻っていく。
「....お前は、あんな事をした俺に、“まだ終わってない”と...そういってくれるのか....。...はは
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