シレーナの封じた過去編-終-?
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し間があった後
「……シレーナを助けてくれてありがとうじゃのぉ」
と言われた。助けた。確かに結果論で言えば、ルシアがシレーナを助けた、という事になるのだろう。
ルシアが彼女のプリンセシナに行かなければ、遅かれ早かれシレーナは穢れと呼ばれる、意思の無い暴れるだけの化け物になってしまう所だったのだから。
「いえ…僕は……」
でも救う手段がそれしかなかったとはいえ、無許可でシレーナの心の中に入ったことに後ろ髪が引かれる思いだ。
罪悪感で素直に御礼を言われられない。
「二度も救われた。なにかしたいんじゃがのぉ」
「そ、そんなの…」
申し訳なさ過ぎてお礼なんていいですよ、結構ですよ、と断ろうとしたルシアの前に
「……ヨナちゃん探すの手伝う」
「シレーナ?」
白いフリルのついた女の子らしいワンピースと茶色い大き目のリュックを背負い、長い旅行でも出かけそうな人の恰好のシレーナが仁王立ちしていた。
あまりにもデンッと構えていたので、一回呆気にとられてなにも言えなかった。
が、よくよく考えたら心配かけたくないからと、ヨナが連れ去られたことは誰にも言わないようにしていたことを思い出した。
「いやっ手伝うって…」
とシレーナに言いつつ、隣に座る少女Rをチラリと横目で見てみると「〜〜〜♪」口笛を吹いてそっぽを向いていた。…ああ、やっぱり犯人はこの子か。と納得。
もう一度シレーナの方を向いて
「でもこれは僕の問題だし。…それにシレーナ病み上がりだし…」
丁重にお断りする。だっていつまでかかるか分からない旅。楽しい事ばかりじゃないだろうし、さっきみたいな危険な事もあるだろう。
そんな旅にこれ以上、無関係の人を巻き込みたくない。
「ワシも止めたんじゃがのぉ」とお爺さんもしょぼーんと独り言のように言っているけど、見てわかる通り、まったく効果はなかったようだ。
「行く」
硬い決心の炎がメラメラと燃えている。大人しくあまり自己主張がないシレーナなのだが、昔からこうと決めたことは頑として聞かない、貫き通す、頑固な一面がある。
今回そのレアな一面が発揮されてしまったわけだが…、これは何を言っても無理なパターンですね。そうなんですね、はいっとお爺さんとアイコンタクトとり、大きくため息をついて
「危険な旅になるかもしれないよ? それでも…」
「…医者は必要」
「………」
うん、確かにそうですね。旅の途中で怪我をしても、ルシアとランファでは、出来たとしてもせいぜい応急処置くらいまで。
専門的な知識など微塵もありません。どこかで病気になって行き倒れるのがオチでした。
「よろしくね、シレーナ」
「うん。よろしく」
「わーい仲間が増えたー!」
ルシアの差し出した手に
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