プロローグ
ライブ会場の惨劇
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段を利用してスライディングで避ける。
そのまま足を止めている人や逃げる際に突き飛ばされて怪我をした人たちを救護しながらがむしゃらに動いていた。
気づくと会場内は誰もいない……いや、二人だけ残っていた。
「――――ッ!!」
「う、た……?」
体力を使い果たし、へたり込む俺はステージ上で槍と剣を手に持って戦うツヴァイウィングの姿を見た。
服装はステージ上で見たドレス姿ではなく、戦闘服というのだろうか体のラインがくっきりと見える服を着ながら、ノイズと戦っていた。
「なっ!?」
驚くべきことにツヴァイウィングの二人は、手に持った武器、いいやそれどころか素手でノイズを破砕していた。
今までの通説どころか、どの国だってノイズに対抗する兵器を作っていないはずなのに何故? そんな疑問を持っていた俺だったが、足場が急速にひび割れステージ上に落下する。
「がっ!? ごふっ!」
勢い良く叩きつけられ、軽く吐血しながら地面に転がる。
痛みで目の前がチカチカと光り、何度も暗転するがノイズから逃げないという単純な思考からすぐに立ち上がろうとする。
だが、右足に鈍い痛みを感じて蹲る。
どうやら落ちた衝撃で打ち身になったか、折れたかの二択だろう。
するとノイズたちが一斉に、俺に向かって走り出してくる。
「ひっ……」
触れたら死ぬ、その恐怖心が俺の心を覆い尽くす。
後ろに下がろうとするが、落ちてきた観客席の残骸で逃げ場が無かった。
ここで、死ぬのか……そう諦めかけていたその時だった。槍が向かってくるノイズたちを横一閃に切り裂き消滅させる。
「駆け出せッ!!」
赤髪の少女に言われた短い言葉、だがその短い言葉が逆に俺を急かさせた。
最後の力を振り絞り、痛む右足を引きずりながら懸命に走る。
奥歯をきつく噛み締め、無力な自分を呪う。
「ぐぅうううっ!!」
「奏ぇッ!!」
苦悶の声と泣き出しそうな声で嫌でもわかる。
奏と呼ばれた少女が俺を守るために無理をしている。ちらりと振り返ると槍を眼前で高速回転させながら飛んでくるノイズたちや攻撃を全て防いでいた。
悔しかった、何も出来ずにただ守られているという事実が悔しかった。
だけどここから一秒でも早く抜け出すことが俺にとっても彼女たちにと――――。
「がふっ……」
胸に鋭い痛みと背中から叩きつけられる衝撃、力なく倒れる前に信じられないようなものを見た顔をした奏の顔が妙にはっきりと見えた。
「オイ! ――な! オ――」
誰かが駆け寄って、必死に呼びかけるのがわかる。
だが大声なのに聞こえづらい。
いや、体が死のうとしてるのだと理解するには一秒もかからなかった。
真っ赤に染まっ
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