プロローグ
ライブ会場の惨劇
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間にか俺は立ち上がりながら必死にサイリウムを振って周りの観客と同じように歓声を送っていた。
「あぁ、コレが……これが【歌】なんだ……」
自然と溢れた言葉とともに、涙が止まらなかった。
短い人生でこれだけ泣いたことはあんまりないと言える。それほど、俺はツヴァイウィングの曲に酔いしれていた。
そして曲が終わり、赤髪の少女が太陽のような笑みを浮かべながら手を振っていた。
隣の青髪の少女は恥ずかしそうに、それでも嬉しそうに手を振りながら歓声を受け止めていた。
『みんなーっ!! まだまだいくぞー!!』
うわぁ――――ッ!! と歓声が上がり、曲のイントロが流れた瞬間爆発音が響いた。
『なっ!?』
会場全体が揺れ、悲鳴が所々からあがる。
濛々と立ち込める煙の中、ナニカが飛び出し最前列にいた人たちに覆いかぶさった。
誰かが震える声で、それの名を叫んだ。
「ノイズだぁ――――ッ!!」
ノイズ、13年前の国連総会にて認定された特異災害の名称。
形状もバラバラ、一部には兵器に似た外見を持つ個体もいると言われている。
ただノイズには共通する目的があった。
――――人類を皆殺すという目的だ。
ノイズは触れたモノを炭化させる転換能力があり、触れた人間は漏れなく炭化し死に至る。
対処法は二つ、同体積の人間を襲わせ炭化消滅させる。もう一つは一定時間逃げて自壊するまで待つというものだ。
ノイズが人類を滅ぼせていないのは後者の特性があることであり、万が一メリットが無ければ通常兵器が効かないノイズに対して、人類は為す術もなく滅ぼされていたことだろう。
しかし、ノイズの発生は極稀であり、数年に何度か、人的被害も最小限に抑えられるというのが常だった。
けれどこの日やってきたノイズの数は異常の一言に尽きるだろう。
まるでこの場にいる人間を食い尽くさんと言わんばかりに襲い掛かってくるノイズに一人、また一人と炭化させられている。
「あっ……ッ!!!」
足が動いたのは偶然、手を伸ばしたのも偶然、そして……手を掴み引き寄せた女の子を救えたのも偶然であった。
「あ、あぁっ……やだ、やだぁ」
「しっかりしろ!! 足は動くな!? いいから逃げろ!!」
強引に女の子の背を押し、走らせると俺は逃げる人並みに逆らって最前列へと急いだ。
人助けをしてる状態でなかったが、体が勝手に動いた。
後から思うに恐怖で思考回路が狂っていたとしか思えない。
「うらぁあああああああああっ!!」
放置してあったバッグをつかむとノイズに向かって投げる。
すると複数のノイズが槍のような形をしながら俺を殺すべく飛んできた。
ゆっくりと動く視界、俺は体勢をわざと崩し下り階
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