ターン78 鉄砲水とシャル・ウィ・デュエル?
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グサグサと容赦のない言葉が胸に突き刺さる。廃寮でミスターTを退けたあの日、僕は夢想に奴との戦いについて包み隠さず打ち明けさせられた。隠し通せるとは最初から思っていなかったけれど、せめてこの戦いに終止符を打つまで夢想には蚊帳の外にいて欲しかったのだ。これ以上彼女をおかしなことに巻き込むまいと思ってのことだったが、その結果がこのざまである。
最悪のタイミングで彼女もこの戦いに首を突っ込むこととなり、立場が逆なら僕もそうしたであろうように、それを隠そうとした僕に対して激怒した。全てを聞き終えた彼女が僕の元から去っていく直前に言われた言葉は、今もはっきりと耳に残っている。
『ねえ、清明。貴方は私のことを、私が思っていた半分も信じてくれてなかったんだね、ってさ』
あれを聞いた時の絶望感を完璧に表すことのできる日本語を、僕はちょっと思いつけそうにない。そしてこの数日間は、向こうが攻めてこないのをいいことになんとか彼女と仲直りしようと暇さえあれば女子寮まで通いつめてはいるのだが……結果はいつもああだ。初日こそ不審者を見る目が向けられていたが、昨日あたりからはそれを通り越したのか周りからの視線が見てられない、という同情めいた含みをもって刺さるようになった。マシになったと言えばそうなのだが、それはそれでまた別の意味で辛い。
「葵ちゃん、天下井ちゃん。お願い、助けてなんて言わないから、せめて何か手を貸して!」
「……ぼちぼち泣きついてくるんじゃないかと思ってましたよ。これ以上先輩に腑抜けられても迷惑なので、1つ貸しでよろしければ」
「仕方ありませんわね。ワタクシのとっておきを見せて差し上げましょう、少々お待ちなさい」
自信満々な顔で踵を返し、私服のドレスを揺らしながら女子寮へ消えていく天下井ちゃん。なんのこと?という視線を送るも葵ちゃんもわからないらしく、軽く肩をすくめるだけの返事しか返ってこなかった。
しかし、僕が正面から何度通い詰めても何も進展がなかったことも事実、ここは彼女のとっておきに賭けてみるしかない。祈るような気持ちでしばらく待っていると、何かポスターのようなものを片手にとてとてと帰ってきた。
「いいこと?貴方が何をなさったのかは知りませんが、本当に反省しているとおっしゃるのならば!その答えは、これしかありえませんわ!」
ばばん!と効果音が付きそうなほどの勢いで、僕の目の前にそのポスターが広げられる。
「何これ。パーティー?ペアデュエル大会?」
「ええ。今から1週間後にワタクシたち卒業アルバム製作委員会が主催となって開く貴方達への卒業祝いのようなものなのですが、その一環として男女ペアを作ってのペアデュエル大会というものを予定していますの。貴方にもパティシエとして腕を振るって頂こうかと2、3日中には
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