暁 〜小説投稿サイト〜
転生も転移もしていない私が何故ファンタジーの世界で魔王と呼ばれる事になったのか。
広がる世界
巻き込まれた夜
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うむぅこれはどうした物か……


「あ……あのぅ、すいません」

「……う、うむ、何か用だろうか? ああ済まない、ちょっと事情があるのでそれ以上近寄らないで貰えると有り難い」


 しまった、色々躊躇していたらネコミミ少女からコンタクトされてしまった、今は背が高い草が私の格好を偽装した状態になっているが、これ以上近付かれるとマッパであることがバレてしまう、何としてもこれ以上距離を詰められる事は避けなければ人として色々とマズい。


「あ、はい申し訳ありません、あのぅ……私、この先にあるアルエムから送られた贄なのですが、貴方様が『草原の魔王』様でしょうか?」


 ……人間では無いと言いつつも一応日本語を喋るのだな少女よ、と言うか今何やら色々と理解不明の単語が多量に羅列された気がするのだが、私はその言葉の中から何をどう意味を抽出して判断すれば良いのだろうか?


『あー…… この子贄として選ばれて来たんだぁ』

「贄……だと?」


 何だそれは、て言うかそこの少女よ、私の言葉にコクコクするんじゃない、今の言葉は君に言った訳では無く、頭の中に語りかけてくる煩くてウザい声に対して言っただけだ。


「今夜は魔王様と邑の間に交わされた……五年振りの捧げ物の夜になります、どうかこの……アリィの体と命を以って邑の豊穣と守護を……どうかお情けを、魔王様」


 訳が判らないがこのネコミミ少女が言っている内容は理解した、が何を言っているのだこの少女は、訳が判らんぞ。


「て言うかこれは本当にリアルなのか? 魔王とは誰だ? 私か? 待て、これは頭に埋め込んだデバイスが見せているバグでは無いのか? 一体どこの世界の住人がこんなうだつの上がらん白衣一枚のマッパなエンジニアを見て魔王と言うのか、色々突っ込みが追いつかんぞ」

『待って、混乱するのは理解出来るけどちゃんと説明するから話を聞いて?』

「あのぉ……魔王様?」

「待つのだ少女よ、それ以上近づいてはいけない、お互いの為と言うか主に私のこれからの人生の都合的にとてもマズい」

『はぁ……このままじゃ話が進まないね、取り敢えず君、今からこの状況を打開する行動を指示するから、それに従ってくれない?』


 こうして私は何も現状を把握しないまま、現状を収める為に頭に語りかけてくる声に兎にも角にも縋ってしまう事になるのだが、それがこの先続く受難の始まりとなってしまうのをこの時理解していなかったのである。


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