暁 〜小説投稿サイト〜
転生も転移もしていない私が何故ファンタジーの世界で魔王と呼ばれる事になったのか。
広がる世界
巻き込まれた夜
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右斜め後方? 何があると言うのだ? そこには只の草むらと岩塊しか…… うむ? 今何か動く物が見えた気が……
『多分近隣のコロニーに属する個体……かなぁ、脅威度は極めて低い種別で、ヒューマンタイプに近い見た目のそこそこの知識を有したな生物になるね』
「……知的生命体? 何だそのザックリとしつつも珍妙な表現は」
コイツは何を言っているのだ、知的生命体とはおかしな言い回しをする、その言い方だと今私が見ている存在がまるで人間では無いみたいではない……か…… って言うかアレは何だ? 子供か? っておい、何でこんな夜中に草原のド真ん中で子供がポツンと居るのだ? 親御さんは何をしているのだ? ……寧ろ何であの子供は動物系のコスプレをしているのだ?
『この世界では極一般的な生命体と言うか住人になるね、見た目は人とあんまり変らないと思うけど、元は猫科動物から進化した生命体だから体の一部はその身体的特徴を有してる感じと言うか、ぶっちゃけ猫耳、尻尾付き少女って言えば理解出来るかな?』
「ネコミミ少女……だと?」
言われてみれば確かにネコっぽい耳を装備した子供がこっちをじっと見ているな、いやおい待て、こんな何もない草原のド真ん中で、しかも夜中であり、私は白衣一枚のマッパで、更に近くにはネコミミコスの少女だ、これは色んな意味でマズくは無いか? 寧ろこれは国家権力の犬に検挙されても文句は言えない事案発生というヤツなのでは無いのか?
「待て、私はアニマルコスに性的興奮を覚えるというそんな特殊な性癖は持ち合わせてはいないし、少女趣味という壊滅的な嗜好も持ち合わせてはいない」
『……ああまぁ君の言いたい事はなんとなーく理解出来るけど、そういう思考に至る前に現状の把握はしておいた方がいいんじゃないかって思うんだ』
「白衣一枚だけの格好で野外に佇み、目の前にはネコのコスをした少女という状況で何をどう冷静に分析をしろと言うのだ、寧ろ現状は一刻も早くここから離れ余計な誤解を招くリスクを避けるのが優先されるのではないか?」
『常識的な思考をしつつも、現状は裸にコート一枚羽織った変態が陰部を他人に見せ付ける感じの犯罪現場と言えなくもない状況になっちゃってるからねぇ、まぁそういう思考に至ってもおかしくはないかな』
第三者視点から見てもやはりそうなるのか、て言うか今は暢気にそんな事を論じている場合では無い、一刻も早くここを立ち去らねば、寧ろどこへ行けばいいのだ? 辺り一面草むらに見えてはいるがここは野外だ、裸足のままだと走る事も儘ならんし、どこへ行けば良いのか判断材料も皆無だ、と言うかこんな野外で白衣一枚のマッパが疾走する姿は何と言うか、ネココス少女云々という以前に検挙の対象になってしまうのでは無いか?
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