732部分:第五十九話 張勲、袁術と郭嘉を取り合うのことその三
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第五十九話 張勲、袁術と郭嘉を取り合うのことその三
「ただね」
「ただ?」
「袁術がああなるなんて」
こんなことを言い出す曹操だった。
「意外だったわ」
「むっ、袁術殿は確かに癖は強いが無能ではないぞ」
趙雲がそれを指摘する。一行は駐屯地の陣中の道を進んでいる。左右には兵達のいる天幕が連なり曹操軍の黒い武装した兵達が並んでいる。どれも見事な兵達だ。
その中を進みながらだ。ここで趙雲がこのことを指摘した。
「基本的には文の方のようだがな」
「袁術のことも昔から知っていたわ」
それはだというのだ。
「あの困った性格もね」
「なら何でそんなに困った顔になってるんだよ」
馬超もそれを指摘する。
「一体何があるんだ?」
「凛がねえ」
曹操は無意識のうちに溜息を出した。
「ああなるなんて?」
「凛って?」
「郭嘉のことよ」
馬岱に応えて彼女のことだというのだった。
「あの娘の真名よ」
「そうだったの」
「あれっ、そういえば」
ここで曹操は馬岱の顔を見てふと気付いたのだった。
「貴女もこの反乱平定に参戦するの」
「そうだけれど?」
「参戦する武将の知らせに貴女の名前はなかったけれど」
「あっ、予定が変わったの」
平気な顔でこう言う馬岱だった。
「それでなの」
「それでって」
「こいつまた黙ってついてきたんだよ」
馬超が顔を顰めさせて曹操に説明した。
「それでいるんだよ」
「黙ってって」
「またつづらの中に入ってたんだよ」
具体的にはそうしてだというのだ。
「全くよお」
「それでいるの」
「そうなんだよ。困った奴だよ」
馬超は今度はその従妹を見て言う。
「留守番しろって言ってたのにな」
「いいじゃない、別に」
馬岱は従姉にも平気な顔だ。
「武将の数は多い方がいいじゃない」
「そういうものじゃないだろ」
「まあわかってましたから」
「絶対にこうなるのは」
少し微笑んで言う孔明と鳳統だった。
「ですからあの時はあれで終わらせました」
「しょうがないですけれど」
「まあいいけれどね」
曹操はこのことには多くは言わなかった。
「とりあえず今は頭痛の種ができたし」
「その郭嘉さんのことね」
「あれじゃあ褥にも呼べないわ」
相変わらずの趣味の曹操である。それは変わらなかった。
「あそこまで露骨にだと」
「露骨って」
黄忠も話がわからずきょとんとしている。
「郭嘉さんは曹操さんに絶対の忠誠を誓っているのではなかったかしら」
「それは変わらないけれど」
「それでも褥には呼べなくなったの?」
「そうなのよ。どうしたことやら」
また溜息を出す曹操だった。
「あの三人は」
「三人で?」
劉備がそれを聞いて目をしばたか
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