暁 〜小説投稿サイト〜
フリージングFINALアンリミテッド
異説外伝『知られざる異次元体』
[10/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
も、時として深刻な問題をも生み出してしまう。

「だが、それでは凱に聖痕組織が侵食する危険性もあるのでは?」

大河の指摘は最もだ。
臨界点を超えた聖痕は、一切の制御が聞かない暴走装置にもなる。例えエネルギー不足が解決されても、搭乗者の凱自身に危険が及ぶのでは話にならない。
聖痕組織はノヴァ組織と同等のモノ。
凱自身が破壊の鬼ノヴァと化してしまうのでは?
そんな危険な独立機関を搭載するわけにはいかない。
エヴォリュダー能力を以てしても、ノヴァ組織を打ち破る保障は何処にもない。

「私もそう考えました。ですが……」

出来ませんでした、その言葉を言う為に来たのではない。アオイ博士には、大きな確信がある。
以前の獅子王凱ならそれもありえると考えたアオイ博士だったが、ある事件をきっかけに、それも杞憂に終わる。

「エヴォリュダー……いや、アンリミテッドに進化した彼なら、逆に聖痕を支配できるかもしれない」

獅子王凱。運命の悪戯は彼の肉体に対する転機を与えた。
生身の肉体からサイボーグへ、そして生機融合体へ、さらに優性進化遺伝子情報構成体へと進化を遂げる。
数奇な運命をたどった彼ならば、あらゆる存在を超越できるかもしれない。
人類を滅亡に導く異次元知性体さえも、人類が神と呼ぶ存在さえも、乗り越えてくれるかもしれない。
アンリミテッドという単語は、大河も知識程度で聞いたことがある。もし、誕生する可能性があるとすれば、獅子王凱かもしれない。案の定大河の予想は的中する形になるが……

(凱……君こそ隣人と手を取り合う、いや、君にしか手を取り合う事が出来ないかもしれないな)

何だか妙な気持ちになる大河の横顔は、すこし寂しそうにも見えた。
いつか、エヴォリュダーの力とその名の意味を、凱に明かした事がある。
人類の進化の可能性と、異世界と絆を結ぶ未来の称号という意味を称えて、進化のエヴォリューションを模って、エヴォリュダーと呼んだ。
そのエヴォリュダーを超越したアンリミテッドとしての獅子王凱の身体記録は、これまでの生物学、聖痕技術や常識を大きく覆す稀なものとなる。
手渡された一切れの書類だけで、大河とハワードは驚愕の表情を浮かべた。

「スワン君の検査によるものか……これは!?」
「アオイ博士、これは本当かね!?」

ヒトの形を取りながら、凱という身体は、あらゆる国家プロジェクトさえも優々と追い抜いてしまっていた。
これまでの聖痕技術が何だったのかと、思わざるを得ないばかりに。
だが、知られざる異次元体に対抗するには、彼の力が絶対に必要となる。
アオイ博士の脳裏には、次々と名前が過ぎる。

凱だけじゃない。

天海護。

サテライザー=エル=ブリジット

アオイ=カズヤ

ラナ=リ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ