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ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
憂いの雨と陽への祈り
紅色と桜色
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けのことである。

 「いいですよー。 ご要望とあらば戦闘服も見せてあげるです」

 しかし、アマリの返事は快諾。
 それどころかシィがさすがに図々しいかと自重していた欲求まで満たしてくれると言う。 見せてほしいと申し出た当人であるシィですら目を丸くして返答に窮してしまうほどの快諾である。

 「『その代わり良い素材の情報があったら教えてよね。 最前線近くの情報はあっても中層以下で採取できる素材の情報は少なくってさ。 だから、それでイーブン』だそうです」
 「って、フォラスが言ってたの?」
 「です」
 「あの腹黒、後で絶対泣かす……」

 アマリに伝言を頼んでおいたと言うことは、シィのお願いを事前に予測していたと言うことになる。 しかも伝言の内容は明らかにフォラスの側がマイナスになる提案で、だ。 中層以下で採取される素材の情報が少ないなどとそれらしいことを言ってはいるが、そんな理屈で騙されるシィではない。
 1層から順に攻略していくアインクラッドはその構造上、全ての層が最前線であったのだ。 例えば50層だって去年は最前線だった。 最前線の情報を集め続けているフォラスは、言い換えれば往来が可能な層全ての情報を持っていると言うことになる。 層の解放に同機して新たな素材が見つかることもあるが、それにしたって情報屋に聞けば済むことである。 要求する対価としては些か以上に軽すぎるだろう。
 もちろん実際に裁縫スキルを持っているシィの情報は、情報屋の持つそれとは実感と鮮度が違う。 違うが、しかし、それで釣り合いが取れるものでは断じてない。

 そんな取引を持ちかけてきた理由は皆目見当がつかないものの、言い知れない敗北感を抱いたシィが悔し紛れに恨み言を口にしてしまうくらいには破格の取引である。 シィに否があるはずもなかった。

 「腰抜かすくらいレアでマイナーで高ランクな素材の情報を送りつけちゃるって言っといて!」
 「お任せです」

 のほほんと右手を挙げて強気な伝言を受け取り、アマリは緩やかに笑ながらストレージから戦闘用装備一式を取り出した。

 「あ、これだけはフォラスくん製じゃないので除外ですー」
 「へえ、その胸当ては別の人が作ったの?」
 「です。 でもこっちは内緒ですよー」
 「それはいいけどね。 じゃあ、ちょいと失礼」

 それもそうだろうと納得する。 服飾装備を見せてもらえるだけで破格なのだ。 それ以上は望まないし、そもそも鍛治スキルを持っていないシィにとって金属系の装備品は興味の外だった。

 時に驚愕の声をあげ、時に感嘆の息を漏らし、時に呆れたような苦笑を浮かべて次々に鑑定していくシィ。 そんなシィを眺めているアマリの目が冷たく乾いていたことに、シィはまるで気がつかない。

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