暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
憂いの雨と陽への祈り
紅色と桜色
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、それだけで感情がなにも察せられなくなってしまう点が非常に惜しいが、アマリは言うまでもなく美少女だろうとシィは思う。
 白い肌。 垂れ目がちの榛色の瞳。 全体的にほっそりとした身体のラインは女性的な肉付きが薄いものの少女的には羨ましくも思う。
 自覚しているのかしていないのか、実際に彼女はシィの知る限り非常にモテていた。 既婚者であるから誰も積極的なアプローチをかけることはなかったし、話し掛けられてもその悉くを無視していたからどうなることもなかったにしろ、一定以上の人気があったのも事実。 その内面は相当に危険物だと言う点は、実のところそこまで広く露見していないのだ。

 (でもまあ……)

 良い子ではあるんだよねぇ、とは声に出さない。

 シィから見たアマリは十分に良い子だ。 それはフォラスがシィに対して好意的であり、それに紐付けてアマリが友好的だからこそではあるが、シィはそう思っている。 そして良い子であっても善良ではないとも、同時に思ってはいるのだ。

 「どうしたですか? 私の顔をじろじろ見て……はっ、まさか……」
 「それはないから」
 「うにー、残念ですー」

 さすがに観察しすぎたのだろう。 アマリに不審な顔をされたので即座に話題を振ってみる。 とは言え、その話題もシィとしては非常に気になっていた事柄なので、あながち逸らしたとも言えないのだが。

 「その服ってさ、フォラスが作ったんだよね?」
 「です。 私の服はフォラスくんが全部作ってくれてるですよ」
 「それ、ちょっと見せてくれない?」
 「うに?」

 ひょいと首が傾いた。

 彼女の相棒であり旦那でもあるフォラスは必要に応じて情報を開示することを厭いはしないし、沈黙することによって周囲に危険が及ぶような種類の情報は躊躇いなく公開している。 だが、それに反するように、その根底にある行動規範は秘密主義の一言に尽きる。
 必要に応じて開示すると言うことはつまり、必要でないのなら絶対に開示しないと言うこと。 周囲に危険が及ぶ可能性があるのなら公開すると言うことはつまり、危険がないと判断すれば絶対に公開しないと言うこと。

 アマリはフォラスの相棒であり妻だ。 そんな彼女がフォラスの行動規範を真っ向から侵すとは考えにくい。
 服を見るとはつまり、使われている素材を公開すると言うことに他ならない。 それだけで見れば直接的な害があるわけではないものの、レシピと言うのは数多の挑戦と失敗の結晶だ。 多くの生産職プレイヤーにとって、それは軽々に公開できるような代物ではない。 ましてついこの間まで攻略組に身を置いていたプレイヤーの装備品だ。 相当に高性能であることは容易に想像できる。 だからこそシィも興味を抱いているのだが、十中八九断られる前提で言っただ
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