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ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
憂いの雨と陽への祈り
紅色と桜色
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ぁ!」
左手で紅色を掴みながら桜色が笑う。 それは笑みと呼ぶには余りにも破壊的だが、そんなことを指摘する者は誰もいない。 決定された勝利を、しかし油断すればそれすらも覆されると知っているのだろう。 桜色の右手が一直線に獲物へと飛来した。
片腕が掴まれた状態で紅色に抵抗の術などあるはずもない。 いや、たとえ両腕が使えようとも、桜色のパワーに抗えはしないだろう。 今までの拮抗は桜色が守勢に回っていたからでしかなく、攻勢に出られてしまえば敗北は必定だった。
ここまでかー
負けて悔いなしとは言わないが、小細工を弄しても負けたのは事実。 悔しくはあっても潔く負けと認め、ため息を吐く。
最後まで油断せずに高速で突き出された桜色の右手が獲物を容赦なく掴み取り、そして……
「あ……」「あー!」
そのまま有り余るSTRによって獲物を握り締め、それだけでそれは耐久値を全損させて消滅してしまった。
「うがー! 最後のマフィンになんてことすんの??」
「昂りすぎちゃったですよー。 シィちんが抵抗してなかったらこんなことにはならなかったのです」
「盗人猛々しい!」
「盗人猛々シィ?」
「ちっがーう??」
先程までの張り詰めた空気も瞬間で霧散する。 シィはアマリの右手から溢れるマフィンだったものの残滓であるポリゴン片を見てガックリと肩を落とした。
「ユーリ特製のマフィンが……マフィンが……」
「また作って貰えば解決です」
「そう言う問題じゃねー……」
呆れた調子を隠そうともしないシィと、それを受けてもまるで気にしないアマリ。
この2人がどうして一緒にいるのかと言うと、互いのパートナーが2人連れ立って出掛けてしまったからだ。 2人が外に出ると聞いた時はアマリも一緒に行くものだと思っていたが、予想に反してアマリはシィたちのホームに残ることを宣言した。 ユーリが給したおやつを余程気に入ったのか、あるいは他に思惑があるのか、真意はシィにはわからないものの、かと言ってアマリに対して含むものはない。 そんな事情で残された2人は何故か仲良くおやつ争奪戦をかなり真剣に繰り広げていたわけだ。 最後のマフィンがアマリの手によって粉砕されて終結となったが。
「あーもうっ、どうしてアマリちゃんに勝てないんだろ……。 AGIなら私の勝ちだよね?」
「です。 私はのーきんしじょーしゅぎですから」
「なにそれ頭悪そう」
「フォラスくんが褒めてくれるのです。 『アマリは良くも悪くも脳筋至上主義だよね』だそうですよー」
「普通に脳筋至上主義って言えるんかーい」
あとそれ、褒め言葉じゃないから。
呆れた調子で机に突っ伏してアマリを見上げる。 キョトンとした表情が一瞬で緩くなり
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