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ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
憂いの雨と陽への祈り
人狼と葬者
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ある可能性は高いか。
フォラスの性格をある程度は知っているユーリはそう当たりを付けて思考を締める。 刻々と進むカウントダウンを前に、精神を集中させていく。 一挙手一投足を全て観察し、全力でかからない限り勝ち目はないだろう。 人間性は別にしてフォラスの戦闘能力はユーリも認めるものだ。
ゼロに近付いていくカウントダウン。 ヒュンヒュンと空気を切り裂きつつ回転する薙刀。 やがて回転が止まり、ピタリとユーリに向けられた。
切っ先は僅かたりとも揺らがず、両者の間に緊張が走る。 距離にしておおよそ8mほど。 敏捷値に重きを置いている2人にとって、それは一足で到達できる間合いだ。
カウントダウンが3秒を切り、そして――
「――――っ」
戦いの火蓋が切って落とされた。
初速が瞬時に最高速へと至る。 ほんの刹那で間合いを侵し、刀の射程にフォラスが入った。 そう知覚する頃には神速の抜刀により、眼前の敵の脇腹へと吸い込まれる。
はずだった……
「なっ??」
「へえ」
声はふたつ。
驚愕と感嘆。
ガントレットに覆われた左手が伸ばされ、掌で刀の柄が押さえられる。 それだけで抜刀が完璧に封じられた。
言うのは容易いが、それを実行してのける胆力と集中力は常軌を逸している。 凄まじい速力を持って動く極小の標的を的確に捉え、数瞬でもタイミングがズレれば両断されかねない状況で憎らしいほど冷静な対処だった。
明確に生じた隙。 フォラスから見れば絶対の好機と言ってもいいそれを、しかしフォラスは付け込まなかった。
バックステップで距離を取り、再び薙刀を構える。
「予想よりも速くて驚いたよ。 とは言え対応できないほどじゃないかな」
「…………」
「今のが全力だって言うならユーリさんに勝ち目はないけど?」
「上等だ……」
短く吐き捨てて1歩。
本当に初手を譲ったことは意外だったが、さすがに2回も譲る気はないらしい。 滑るように間合いを詰めようとするユーリに自ら踏み込んだ。
まさかの行動に驚くが、それでも冷静に間合いを見極め、間髪入れずに突き出された左手によるフック気味の拳打を身を沈めて躱す。 この時点で既に刀を以ってしても近過ぎるほどの位置にフォラスがいるが、だからと言って攻撃の手立てが封じられたわけでもない。
両脚を刈り取る勢いでの蹴撃。 後方に軽く跳んで回避されるが、それによって開いた間を逃さず立ち上がる動作と連動して垂直に刀を斬り上げる。 しかしこれも当たらない。 僅かに身体を捻って躱された斬り上げを瞬時に引き戻し、半身になったフォラスを薙ぐように振るう。
だが、それすらも意味を成さなかった。
「ちっ」
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