暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
憂いの雨と陽への祈り
予想と疑惑
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レグレイトにも石言葉がある」
 「ちなみになんて?」
 「《永遠にあなたを想う》」
 「ふぇー、ロマンチック」
 「そう? いや、そうなのかもしれないけどさ。 でも、永遠にあなたを想うって、それって永遠に想うだけって取れない?」
 「取れなくもない、かも?」
 「少なくとも32層の人たちの間ではそう言う意味で広まってる。 身分違いの恋の相手に贈る宝石の定番らしいよ。 ほら、32層も31層と同じで封建国家だからさ。 身分違いの恋だってあるんだろうね」

 その石言葉も、その意味さえも完璧に把握して、しかもそれを纏めたレポートを僕に渡しておいて、それでもレグレイトを僕に勧めてくれやがったアルゴさんのニヤニヤ笑いには少しイラっとしたけど、これは言う必要のないことだろう。

 「それを踏まえて部屋の中を見渡したら、ソファーの向こう側にあった机の上に散乱してた書類があったけど、その下から32層の王家印章が刻まれた封筒が見えた。 あれって多分、恋文だったんだと思う。 で、そこまで予想できたら後は簡単。 王家印章ってことは恋のお相手は間違いなく王家。 エルティさんに見合う年頃の王族はあそこの第1王子だけだったし、31層と32層の仲は険悪……って、これは知ってるよね?」
 「そう言えばそんな話をクエスト中にちらっと聞いた気がする。 確か、『上の奴らが俺たちから太陽を奪った』とか、『下の人たちが私たちから水を奪っている』とか、なんと、か……って、雨!」
 「そう言うこと。 32層は全域が砂漠。 雨が降らない32層と雨が降り続ける31層。 常に晴天の32層と晴れることのない31層。 雨をもたらしている装置があるのは31層と32層の中間部。 つまり」
 「その装置が32層に降るはずの雨を吸い上げて31層に降らせてる?」
 「だろうね」
 「ありゃりゃー。 そりゃ仲も悪くなるよ。 それで王子様は31層にいるエルちゃんに恋をしてるなんて……うーむ、叶うわけがありませんな」
 「周囲の反対は凄いだろうからね。 お互いに、さ」

 はあ、とため息を吐いたのはほぼ同時だった。
 けど復旧が早かったと言うか、次に口を開いたのはシィさん。

 「背景をそこまで細かく組んでるのになんの話もなかったよね。 ただの背景で終わらせるつもりだったとか?」
 「いや、これも多分なんだけど、僕たち、クエストのフラグを何個かすっ飛ばしてるんじゃないかな?」
 「どうしてすっ飛んだの?」
 「僕がやった談笑のせいだと思う」
 「笑ってたのはフォラスだけだけどね」
 「エルティさんも引いて強張ってたけどギリギリ笑ってなかったっけ」
 「そんなの談笑じゃねー」
 「とにかく、あれで敵対とまではいかなくても非友好的なフラグが立ったんだろうね。 シィさんだったらそ
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