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憂いの雨と陽への祈り
予想と疑惑
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さは遠くから眺めていただけの僕でさえわかるくらいだった。 少なくとも彼女たちが攻略組に所属していた頃はそうだったし、それは今でも変わらないと思う。
それでもいつも通りでいられるのは、ユーリさんを信頼しているからなのかもしれない。 僕たちの間にはない信頼関係は素直に羨ましいと思ったり思わなかったり。
「とにかく別ルートを探ってみよう。 マップだとこの先は?」
「行き止まり。 ちょっと広いだけの小部屋があるけど、Mobとか出るのかねぇ」
「ちょっと見せて」
「ほいほい」
言ってシィさんはマップを表示しているウィンドウを可視化してくれる。
「んー、この広さならボスがいるってことはなさそうだね。 いても小型のモンスターが精々。 最悪、中型かな。 向こうは……ああ、この広さならボスが出てきてもおかしくないかも」
「心配?」
「少しはね。 でも、この階層にいるくらいのボスだったらアマリの敵じゃないし、それにユーリさんもいるから大丈夫でしょ。 最前線に時折現れてはすぐに姿を消す謎のプレイヤーってユーリさんのことだよね? なんか愉快な姿になってたけど」
「可愛いっしょ?」
「元々可愛かったけど、ケモミミ効果で更に可愛くなったね、ユーリさん。 本人は不満だろうけど、そこはご愁傷様と言うことで」
適当に同情しつつ、さっき見たユーリさんの愉快な姿を思い出す。
あの耳と尻尾は多分、狼のものだろう。 生憎と生物学は苦手分野なので断言はできないけど。 これでシィさんがポロッと零していた『ワンコ』『ケモミミ巫女』の該当者が彼だと確定したわけだ。
「フォラスは聞かなくていいの? あれはなんだーって根掘り葉掘り聞かれる覚悟はあったんだだけどねー」
「聞いても答えないだろうから聞かないよ。 覚悟ってそれ、沈黙する覚悟でしょ? そっちもアマリのアレを聞かないでいてくれてるしね」
「ふぃーん。 やっぱ変わったね」
可視化していたウィンドウを消してポツリ。
表情に浮かんでいるのは悪戯っ子のような笑みと、それから安堵、かな。
「昔のフォラスなら根掘り葉掘り聞いてたんじゃない? 私が攻略組にいた頃のフォラスは周りにいる奴全部敵! あっちいけ! いや、むしろ死ね! みたいな感じだったじゃん」
「そこまで排他的じゃなかったよ」
「うっそでー」
「本当だよ」
「本当に?」
「嘘だけどさ」
「あっはっは、死ねー」
滅茶苦茶いい笑顔だった。
確かに当時の僕であれば、ユーリさんの変化の原因をなんらかのスキルの効果だと推測し、その情報を得ようと躍起になっただろう。 周りにいる奴全部敵って言うのはちょっと極端にしても、潜在敵と見做していたのは否定できない。 そして、敵となり得る
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