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憂いの雨と陽への祈り
桜色の彼女
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、何よりアマリの筋力値の高さはユーリも嫌と言う程知っている。
だが、だがしかし、だ。
襲い掛かってきた蟻を、ソードスキルの伴わない素の回し蹴りだけで迎撃できるなど誰に予想ができよう。 まして爆裂も使ってさえいずに壁際まで、距離にして10m近くも蹴り飛ばしてしまうなど、そんなことが予想できるのは彼女の伴侶であるフォラスくらいのものだろう。
今のアマリを指して落ち着いているなどととんでもない勘違いだとユーリは悟った。
違う。 違うのだ。
アマリは既に感情がオーバーフローしている。 アマリのキャラクターを演じ続ける余裕がなくなるほど、彼女は怒っていたのだ。
穏やかな微笑が酷薄な冷笑に変わる。
普段の緩さも、戦闘時の凶暴さもない。 ただただ静かで冷ややかな瞳。 紡がれる声も、やはり冷たかった。
「さあ、逝ってしまいましょうか」
それは冷酷な死刑宣告だった。
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