暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
憂いの雨と陽への祈り
脆弱なる主人
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の差が歴然すぎるほどに歴然だからだ。

 カラーカーソルは鮮やかなピンク。 つまり圧倒的格下であることを示している。 更に言えば識別スキルで読み取ったレベル(識別スキルで読み取れる時点でレベルの差を示す証左だ。 これでレベルが近いとステータス情報の全てを読み取ることはできない)は48。 この層にしては破格の、けれど僕とシィさんを前にするには絶望的なまでに足りないレベル差だ。 これほど開けてしまうと相性なんてあってないようなものと言っていい。

 「シィさん」
 「任せんしゃい!」

 僕の声を聞くと同時……どころか行動のほうが数瞬早かった。
 ドンと地面を踏みしめる音を置き去りにして急加速したシィさんは、未だこちらを睥睨するだけで何も行動を起こさないタロスへと肉薄し、そしてそのまま股下を潜り抜ける。
 その拍子にタロスの右足首に大鎌の刃を引っ掛けて急制動。 瞬間、跳び上がって右足の膝裏へと蹴りを叩き込んだ。 スキルを伴わない蹴りであるにも関わらずぐらりと傾いだタロスへと追い打ちとばかりに引き抜いた大鎌で今度は左足を水平に薙ぎ、それだけで完全にタロスの体勢は崩れ、重力に従ってゆっくりと倒れ込む。

 もっとも、正確には倒れこみそうになった、か。
 そんな隙だらけな敵を前にシィさんがなにもしないわけがない。 大鎌を薙いだ勢いで身体を捻っていたシィさんがその捻転力を解放し、地を這うような軌道から繰り出された斬り上げがタロスの左腕を吹き飛ばす。
 レベル差を考慮に入れても呆気ないくらい綺麗に飛んだ左腕の行く先を視線で追うこともなく、振り上げの軌道で背後に回った大鎌を右手1本に持ち替え、タロスの左側にいながら右脇腹を抉ると言うなんともあれな追撃を加えてから飛び退いた。

 さすがは元攻略組。 ステータスやレベルの差に驕らず、初見の敵に様子見を選択するのは至極真っ当な戦法だろう。 これがわざわざ手を出す暇もないほど一瞬で行われた攻撃なのだから頼もしい限りだ。
 今の交錯で削ったHPは1段目のバーの約半分。 ソードスキルを使わなくても圧倒的なレベル差を考慮すれば当然と言えるだろう。 正直、殆どイジメと言っていい。

 が、さすがと言えばこちらもさすがはボスだ。 斬られた左腕の切断面が隆起したかと思えば瞬時に腕が再生されてしまう。 HPの回復はないところを見ればトカゲの尻尾のようなものだろう。 再生速度からは全力で目を背けるけど。
 そして今度はこちらの番だと言わんばかりにシィさんへと特攻するタロス。 しかし相手が悪すぎる。 シィさんは余裕の笑みで迎撃の体勢を整え??

 「シィさん!」

 視界の端を何かが掠めた。
 そう認めた瞬間に僕はすでに叫んでいた。 肝心のシィさんはタロスの巨体で視界が塞がれ、死角だらけとなっていたら
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