暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
憂いの雨と陽への祈り
脆弱なる主人
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ながら扉を開け放った。

 「お先にどうぞ」
 「『シィ様は僕が守る! うぉおぉぉ!』みたいな気概とかないの?」
 「ない。 シィさんって守られなきゃならないほど弱くないでしょ? と言うわけでサクッと終わらせてきてよ」
 「はいはい。 ん、その言い方だと見物するだけみたいに聞こえるんだけど」
 「ソンナコトナイヨー」
 「ま、いっか」
 「いいの?」
 「なんだかんだ言いながら危なくなったら加勢する奴ってわかったからねー」

 人をそんなちょろい奴扱いしないでもらいたい。 いやもう本当に。

 視線による抗議なんてなんのその。 シィさんは悠々と僕の肩を気軽に叩いてボス部屋へと足を踏み入れた。 気楽に、それこそ食堂にでも入るような気安さで、ズンズンと先に進み、そして……

 ゴガン

 と重い音が響いた。
 音源は部屋の最奥だろうか。 暗くて判然としないけど、動く巨大な影と怪しく光る紅蓮の光点がふたつ。
 瞬間、部屋の松明が順に燃え出し、その姿を僕たちの前に悠然と晒す。

 岩。
 初めに抱いた感想がそれだった。
 ゴツゴツとした質感の体表を持つ、目算5mほどにもなる巨大なゴーレム。 その証たる紋章を右肩に刻んだそいつは、僕程度なら丸呑みにできかねないほどに大きな顎を目一杯開口し、地を轟かせる咆哮をあげる。

 vulnerable golem the talos
 定冠詞が付いているからもボスであることは間違いない。 和訳すれば……脆弱なゴーレム・タロス、か。
 脆弱な、なんて言うゴーレムに不釣り合いな単語は気になるものの、外見だけ見れば普通に普通の大型ゴーレムだ。 HPバーは7本。 31層であることを加味すれば明らかにHPが膨大すぎる感があるけど、ゴーレム系のお決まりと言えばお決まりでもある。
 ゴーレム系は総じて防御力と攻撃力が高く設定されていて、HPも相当多くなることが多い。 もちろん例外もあるし、そんな例外を何度か見たことがあるけど、それでもまあそんな感じだ。 攻撃パターンは単調なものが多く、その破壊力に警戒さえしておけば問題ない相手とも言える。
 問題はだからそう、相性の悪さか。

 動きの遅いゴーレム系は身体が硬く、生半可な攻撃ではダメージが与えられない。 防がれるとか耐えられるなんて次元ではなく、文字通りダメージが通らないのだ。
 そして言うまでもなく僕にしろシィさんにしろ恒常火力は決して高いとは言えないのが実情だ。 もちろんそれを補って余りあるだけの技術があるから硬い相手と戦うことになった場合の対策もある。 少なくとも僕にはあるし、シィさんだってあるはずだ。
 それでも相性的に不利であることは否めないけど、とは言え今回はそこまで警戒する必要もないのかもしれない。 なにしろレベル
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