暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
憂いの雨と陽への祈り
屹立する旗
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苦笑いと言う器用なことをやってのけた。
 実際、言っていることは正論であり、理論立てての反論は不可能で、それがわかっているからこそユーリも感情的な否定以外はできない。

 「今は休むが吉です。 状況のおさらいと今後の方針を決めないとです」
 「……わかった。 そうだな、あのバカに心配の必要もないだろ」
 「心配で心配で仕方がないって顔ですよ?」
 「あのバカが誰かに心配をかけてないかが心配なんだよ」
 「素直じゃないで……ん、んー、んん?」
 「なんだ?」
 「うに、なんでもないです」

 にへらっと笑いながらも小さく、なるほどそう言うことですか、と呟かれたアマリの声はユーリの耳にしっかりと届いていた。 届いていたが、しかしどう聞いたところでアマリはなにも話さないだろうと諦めてユーリもそれ以上はなにも聞かない。
 そしてそれは正しい判断だった。

 「今後の方針って言ってもな……具体的にはどうするんだ?」
 「出てきた敵をぶっ殺すです」
 「即答しなくてもいい加減わかってるっつーの。 だから、どうやってぶっ殺すかの算段だ」
 「ぶっ叩けばぶっ殺せるです」
 「ああ、お前はそう言う奴だよ……」
 「頭を押さえてどうしたです? まさか頭痛ですか?」

 はあ、と溜息と共に焦りや不安も吐き出そうと試みる。
 もっともそれはどうにも叶わなかったが。






 作戦会議にもならないどうでもいいやり取りで決まったことは、索敵担当がユーリで、攻撃担当がアマリとなっただけだった。 不測の事態ではユーリももちろん攻撃に参加するが、基本は警戒に徹することで算段がついた。
 異論反論はあったが、「じゃあユーリちゃんは私よりも早く敵をぶっ殺せるですか?」の問いに沈黙してしまった辺り、恒常火力の差はユーリにだってわかっているのだろう。 アマリの見たことのないあのスキルを使えばその限りではない可能性もあるが、かと言ってあれは彼にとっても隠し球だったらしく、あれ以降は使う素振りも見せない。

 (あれは少し厄介ですが……)

 声に出さず、態度にも出さず、アマリは小さな懸念を抱えていた。
 ユーリの使ったあのスキル。 あれは敵に回すのならかなり危険な代物だ、と。
 現状、ユーリがアマリに敵対行動を見せたことはない。 かなり無礼な態度を取っているものの、それも殆ど意味をなさず空振りだ。 道中のアマリのテンションが普段以上に高いのは、そのラインを探ろうとしているからだった。

 フォラスがいればその仕事は彼の役目なのだが、今は隣にいない。 ならばこそ、敵かそれ以外かの選定は自分の役目だと、アマリは??否、少女は自覚している。

 (もう少し探るべき……とはわかっていますが、かと言ってこれ以上探るのもさすがに疲
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