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憂いの雨と陽への祈り
山嵐のジレンマ
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一刀が振り下ろされ、ゴーレムの右腕を斬り落とす落とす。 着地と同時に振り上げられた一刀がゴーレムの左腕を斬り落とす。 敵のHPが僅かに残り、本来であれば技後硬直に縛られるはずのユーリの右脚が輝き、直後後方宙返りと共にゴーレムの顎へと爪先が突き刺さった。
刀2連撃ソードスキル、《窮寄》並びに体術ソードスキル《弦月》
異なる武器種によるソードスキルの連携により、ゴーレムもまた爆散した。
「馬鹿だ馬鹿だとは思ってたけど、お前、本当に馬鹿だな」
「唐突な罵倒にショックを隠せないです」
「笑いながら言うな馬鹿」
あの後、モンスターを退けたユーリはアマリの口に有無を言わさず解毒ポーションを押し込んだ。 半ば以上無理矢理だったためにアマリは抗議の声を上げたがそれも無視。
麻痺が解け次第、来た道を引き返して直近の安全地帯へとアマリを連行した。 こちらも有無を言わさずだったが、反省しているのかそもそも先に進むことへの興味が薄いのか、アマリからの抗議はなく、安全地帯へと到着してすぐのやりとりがこれである。
「庇うにしても自分の身を盾にする馬鹿がどこにいる、この馬鹿。 お前まで麻痺喰らって、もし俺がすぐに回復しなかったらどうするつもりだったんだよ馬鹿。 あれであのMobがもっと強かったら最悪共倒れだったじゃねえか馬鹿。 ああ言う時はもう片方が敵を排除するか、あるいは撤退するかが基本だろうが馬鹿」
「馬鹿馬鹿言いすぎですよー」
「うるせえ馬鹿」
「あはー」
渋い顔でなおも言い募るユーリの罵倒を聞きながら、アマリは安置の壁を背に座り込んだ。 言いたいことは山ほどあるが、ユーリもようやくそれに倣いアマリの隣に腰を落とす。
そして無言。
知っている顔に対しては口数の多いアマリも無言になり、ユーリもまた無言になる。
その沈黙を破ったのはユーリだった。
「……悪かったな」
それは謝罪。
あの時、ユーリの油断によってあれは起こったのだ。 危機感がないと思われたアマリが真っ先に気づき、忠告を投げてくれたにも関わらずユーリは反応できなかった。
あのモンスターが最前線クラスだった場合、間違いなく共倒れになっていただろう。 もちろんアマリが身を盾にして共に麻痺したことによって状況が悪化したのも確かだが、それでも発端がユーリであったことは純然たる事実だ。
油断。
暴れ回るの役目をアマリに任せ、索敵は自身の役目だとしていたと言うのに、その自分が油断してしまうとは何事か。
道中の敵が弱かったなんて言い訳にならない。 明確すぎるほど明確な落ち度だった。
故にユーリは謝罪する。
しかし、アマリはユルリと首を横に振った。
「ユーリさんはなにも悪くな
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