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ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
憂いの雨と陽への祈り
山嵐のジレンマ
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…」

 ろ、とは続かない。
 いっそ暴力的と言っていいほどの乱暴さで手が掴まれ、そして引かれる。 力の抜けた身体は面白いように地を転がり、けれど相棒が仕立ててくれた高性能な服装備のおかけでノーダメージで終わった。

 「ばっ……」

 かやろう、とも続かなかった。
 通路の奥から飛来する銀色の何かと地に転がるユーリとの間に、毒々しい紫紺の両手斧と桜色が立ち塞がった。
 その光景を見れば何が起こったのか容易に想像がつく。

 麻痺毒に侵され、身動きが取れなくなったユーリを庇い、自身の後ろに放り投げたアマリがその身を盾にしようとしているのだ。

 ギギギ、と続く高音の響き。
 ドドド、と続く低音の響き。
 それが針のような銀色の何かが地面に突き立てた両手斧とアマリの身を穿つ音であることは明白だった。 アマリのHPはギリギリ視認できるほど緩慢なペースで減少し、それもすぐさま回復する。 肉壁としてこれ以上ない性能を発揮しているアマリは、普段の壊れようからは想像もつかないほど悲壮な顔で、ユーリに振り返った。

 「あ、はー、無事です……かー?」
 「おまっ、馬鹿か? 逃げろ!」

 目に涙を溜め、悲壮な顔を更に歪め、けれどアマリは動かない。
 自身の武器を盾に、自身の身を盾に、他人と言ってもいいユーリを守るため不動の壁となっている。
 元より両手斧に身体を預ける算段だったのだろう。 既にその身は麻痺毒に侵されているはずなのに、それでも倒れることはない。 麻痺になりながらも緩慢に動く右手で頭を押さえ、溜めた涙が溢れるのを拭いもせず、アマリは小さな声で囁いた。

 もう誰も死なせたくないです、と。

 ユーリは頭が沸騰するような感覚に襲われる。
 その言葉の意味を、余さず理解してしまったから。

 アマリの過去は知っている。 全てを、とは言わないが、それでも表面的なことはユーリも知っているのだ。
 親友を亡くしていることを、無二の仲間を亡くしていることを、ユーリは??否、SAOに囚われているプレイヤーの殆どは知っている。 《慈悲の歌姫》と呼ばれた彼女の死は、プレイヤーの多くにとって悲報だった。

 大切な者を守れなかった苦痛はトラウマとなり、手の届く命を助けることを強制する。 お気に入りの玩具程度にしか認識していないだろうユーリを守るため、その身すらも犠牲にしてしまえる。

 なんと歪んだ価値観か。
 なんと壊れた死生観か。

 この程度の攻撃であれば死なないとタカを括っている?
 違う。 それは違う。
 アマリは、そしてアマリの伴侶であるあの少年は、自身が本当に死んでしまう状況だろうと、きっとその身を盾にしてしまえるだろう。

 ふざけるなと、ユーリは歯噛みする。
 そんなもの善性でも
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