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憂いの雨と陽への祈り
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ベル上昇など、尋常でない利点を所有者に与えてくれる。
反面、半強制的に髪は銀色に変わり、狼の耳と尾が生えてくると言うユーリにとっては絶大なデメリットもある。 modにある《フェイスチェンジ》を使えば以前通りの黒髪に戻って耳と尾も消えるのだが、ソードスキルを使えばすぐに銀髪獣耳尾付きの状態になってしまうのだ。
「はぁ……」
元より少女然とした??否、美少女然とした容姿をしているユーリだ。 これ以上目立つ要素は増やしたくないと思っているのだが、それを誰あろうアマリに見つかったのが運の尽きだったのだ。
「ふぉおぉぉぉ……」
当のアマリはユーリの耳と尾を輝く瞳で見つめている。 意外に可愛いもの好きなんだな、と最早投げやり気味な思考で諦めた。
約束を守る気はあるようで、興味津々どころか全身から触らせろオーラを出しながら、それでも触ろうとはしない辺り、なんだかんだと良識人なのだろう。 脅迫して脱がせた事実から全力で目を逸らせば、だが。
ちなみにこの話、後になってアマリの夫であるフォラスに文句を言ったところ、『組み伏せられた時点でハラスメント警告が出るんだし、嫌だったら監獄送りにすればよかったのに』と冷静に返されることとなる。
そのことに気がつかない程度にはユーリも疲労していたのだ。
「で、これからどうする? これが魔方陣じゃないってことは別になにかがあるはずなんだが……」
「ふえ? これ、魔方陣ですよ?」
「は?」
「え?」
目を逸らすついでに話を逸らしてみたユーリに、アマリは予想外の返答をする。
「いや、魔方陣じゃないだろ、これ。 もし魔方陣ならこれで完成だ」
「ユーリちゃん、魔方陣の定義を知ってるですか?」
「一辺の和が縦横斜め、全ての列で同じになるように配置する数字パズルだろ? これは8×8だから斜めはないけどな」
「30点ですね」
バッサリと切り捨てたアマリは、そこで薄く微笑した。
ユーリにとっては初見の、表情。 普段の緩さも、戦闘時の危険さも取り払った、むしろ理知的でさえある微笑を伴ってアマリが言葉を繋げる。
「魔方陣にはいくつかの種類があります。 その分類は汎魔方陣、親子方陣、木星方陣、乗算方陣、奇数偶数方陣、連続方陣、多重魔方陣と多岐に渡ります。 難易度を一概には語れませんが、ユーリさんの言う魔方陣は和算方陣と呼ばれることもある基本形にして一般系の魔方陣ですね」
「は、お、おう?」
「どうかしましたか?」
「いや、お前……」
「これはまあ、仕方がないでしょう。 あまり見せたくはないですが、ユーリさんにも見せたくないものを晒させているので痛み分けと言うことで」
クスクスと笑って言うアマリは普段よりも圧倒的に大人びてい
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