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ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
憂いの雨と陽への祈り
その少年、外道につき
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ちに傾いているのかな?」

 俯いての無言はそのまま降伏の表明だ。
 もちろんこの会話を無視して(と言うよりも、クエスト進行のプログラム通りの行動として)捕らえようとするかもしれないけど、そうなったら宣言通りに抵抗すればいいだけのこと。
 忠告はしたと言い訳ができるようになった以上、抵抗することの罪悪感は軽減できる。 僕は元より気にしないけど。

 交渉相手に隙を見せるなんて付け入ってくださいと言っているようなものだ。 言質を取られた上にそれを利用されて言いくるめられるなんて交渉役としては下の下。
 もっとも、僕の交渉だってお世辞にもスマートとは言えないし、色々と穴だらけではあるものの、それでもエルティさんには通用したようだ。 純粋な人との会話はスムーズに進むから本当に楽しい限りである。

 「フォラスって結構ゲスだよねー」
 「褒め言葉として受け取っておくよ。 で、どうするの?」

 褒められたお礼に決定権をシィさんに擦るつけ……ではなく、譲ってみた。
 これで断って抵抗して暴れてクエストが失敗してもシィさんの責任になると言う素敵な状況の完成だ。

 「もしかしてクエストに乗り気じゃなかったり?」
 「ん? どうして?」
 「だって、私が断りやすいように仕向けてるから」
 「仕向けるって、人を悪役か黒幕みたいに言わないでよね」

 ひょいと肩を竦めたら鼻で笑われた。
 なので本音をぶちまけるとしよう。

 「別に。 正直どっちでも良い」
 「うわー、言い切ったー」
 「そう言うシィさんはどうなの? やっぱり断りたい?」
 「まーねー、こんなことしてるほど暇じゃないしねー、でもなー、なんだかなー」
 「うん?」
 「ぶっちゃけワクワクしてるのさ!」

 グッと親指を立てての宣言は非常に共感できる理由だった。
 それを理由に迷えるのがシィさんで、危険がある可能性を考慮して迷えるのもやはりシィさんらしいのだろう。 頭が軽いようでいて、そして実際に軽いんだけど、でも踏み越えちゃいけないラインを知っている、みたいな。
 なんとも複雑怪奇な人柄は本当に昔のままだ。 攻略会議の場を混沌の渦に叩き込んでいた攻略組時代から全然変わっていない。

 まあ、そう言うところもシィさんの美点なんだけどね。

 「んー、んんー……ま、いっか」
 「決まった?」
 「うん。 なにかあっても問題ないっしょ」
 「過信じゃないといいね」

 やなこと言うな! と突っ込んでから、シィさんがそれまで黙っていたエルティさんに向き直る。

 「いいよ。 そのお願い、ドーンとこのシィちゃんにまっかせーなさーい」

 さてさて、これで退屈が解消されるといいんだけど、どうなることやら……
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