暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
憂いの雨と陽への祈り
クエスト開始
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
です」
 「お前がか? これは今日にでも雨が降るな」
 「恵みの雨ですねー」
 「皮肉って知ってますかねぇ!」
 「知らない子ですねー」

 噛み合わない掛け合いは、けれど親しさの証左だった。 一方がアマリであることを加味すれば尚更だ。 そこそこ親密でなければアマリは会話をしようとはしないし、軽いハイタッチとは言え接触をすることはない。

 ユーリとアマリは既知の中だ。
 攻略組として肩を並べていた以外にもちょっとした縁があった。 端的に言えばアマリは偶然にもユーリの弱味であり秘密を知り、その秘密が故にユーリに興味を持っているだけのことだったりする。

 「ところでアマリ。 お前、ここがどこだかわかるか?」
 「ふえ? んー、記憶にあるようなー、ないような?」
 「ここは32層のフィールドだ。 確か《始祖の砂漠》とかって名前だったはずだ」
 「ほえー、よく覚えてるですね」
 「相棒が残念だからな。 で、だ。 お前、なんかクエスト受けてたか?」
 「受けてないですよー。 家でゴロゴロしてたら強制転移ーだったです」
 「やっぱりか……」

 アマリの危機感のない返答にユーリは顔をしかめつつ、グルリと周囲を見渡す。 敵影がないことに息を吐きながらも警戒は緩めていないのか、鞘に落とした刀の柄に軽く触れた。
 ここは彼の記憶通り、32層にある広大な砂漠フィールドだ。 だが、もちろんユーリはこんなところに自ら足を運んだわけではない。 ユーリがいたのはここから1階層下にある31層の宿屋で、なんの前触れもなく強制転移させられてここにいる。 話を聞く限りアマリも似たような状況らしい。

 視界の端に受けてもいないのにクエストログがチラついている。 それも知らない名のクエストだ。
 《その罪過は誰が為に》
 クエスト名からはどんな内容のものなのか予想もできない。 難易度も危険度も、当然だが推察すらできない状況だ。
 ユーリからしてみれば32層は低層域なので、戦闘面に限って言えば危険はないだろう。 加えて、性格や人格に百歩どころか万歩譲って目を瞑れば、アマリの恒常火力を含めた戦闘能力は非常に頼りになる。

 「ユーリちゃんユーリちゃん」
 「……なんだ?」
 「次の敵はどこにいるですか? どれをぶっ殺せばいいですか? もっともっとぶっ殺したいです。 私はすとれす発散用のさんどばっくを所望するです!」
 「…………」

 沈痛な沈黙である。

 「なあアマリ」
 「ですです?」
 「……いや、なんでもない。 とりあえずアルゴにメッセ飛ばそうぜ。 あいつならこのクエストを知ってるかもしれないしな」
 「ですねー。 情報料は私も3割くらいは出すです」
 「いや、5割出せよ」
 「女の子にたかるですか? ユーリ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ