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憂いの雨と陽への祈り
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です」
「お前がか? これは今日にでも雨が降るな」
「恵みの雨ですねー」
「皮肉って知ってますかねぇ!」
「知らない子ですねー」
噛み合わない掛け合いは、けれど親しさの証左だった。 一方がアマリであることを加味すれば尚更だ。 そこそこ親密でなければアマリは会話をしようとはしないし、軽いハイタッチとは言え接触をすることはない。
ユーリとアマリは既知の中だ。
攻略組として肩を並べていた以外にもちょっとした縁があった。 端的に言えばアマリは偶然にもユーリの弱味であり秘密を知り、その秘密が故にユーリに興味を持っているだけのことだったりする。
「ところでアマリ。 お前、ここがどこだかわかるか?」
「ふえ? んー、記憶にあるようなー、ないような?」
「ここは32層のフィールドだ。 確か《始祖の砂漠》とかって名前だったはずだ」
「ほえー、よく覚えてるですね」
「相棒が残念だからな。 で、だ。 お前、なんかクエスト受けてたか?」
「受けてないですよー。 家でゴロゴロしてたら強制転移ーだったです」
「やっぱりか……」
アマリの危機感のない返答にユーリは顔をしかめつつ、グルリと周囲を見渡す。 敵影がないことに息を吐きながらも警戒は緩めていないのか、鞘に落とした刀の柄に軽く触れた。
ここは彼の記憶通り、32層にある広大な砂漠フィールドだ。 だが、もちろんユーリはこんなところに自ら足を運んだわけではない。 ユーリがいたのはここから1階層下にある31層の宿屋で、なんの前触れもなく強制転移させられてここにいる。 話を聞く限りアマリも似たような状況らしい。
視界の端に受けてもいないのにクエストログがチラついている。 それも知らない名のクエストだ。
《その罪過は誰が為に》
クエスト名からはどんな内容のものなのか予想もできない。 難易度も危険度も、当然だが推察すらできない状況だ。
ユーリからしてみれば32層は低層域なので、戦闘面に限って言えば危険はないだろう。 加えて、性格や人格に百歩どころか万歩譲って目を瞑れば、アマリの恒常火力を含めた戦闘能力は非常に頼りになる。
「ユーリちゃんユーリちゃん」
「……なんだ?」
「次の敵はどこにいるですか? どれをぶっ殺せばいいですか? もっともっとぶっ殺したいです。 私はすとれす発散用のさんどばっくを所望するです!」
「…………」
沈痛な沈黙である。
「なあアマリ」
「ですです?」
「……いや、なんでもない。 とりあえずアルゴにメッセ飛ばそうぜ。 あいつならこのクエストを知ってるかもしれないしな」
「ですねー。 情報料は私も3割くらいは出すです」
「いや、5割出せよ」
「女の子にたかるですか? ユーリ
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