暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
憂いの雨と陽への祈り
お節介の代償
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あるいは困ったような表情をしていた。

 「あー、もしかしてさっきのは聞かなかったことにしたほうがいい話だったりしたのかな?」
 「ナ、ナンノコトカネ」
 「わかりやすいリアクションをありがとう。 まあ、僕に直接の関係はないことだろうし深くは聞かないよ。 お互い痛い腹を探り合うのは趣味じゃないでしょ?」
 「そこは痛くない腹、じゃない?」
 「いや、痛いでしょ。 シィさんも、僕も」
 「そうかもねー」

 ケロリと認めるシィさんに苦笑いを返してから、僕は一歩彼女から離れる。 ここで別れたいと言う意思表示の篭った行動を察してくれたらしく、シィさんも軽く手を挙げてヒラリと振った。
 元より僕は1人になるためにこの層に来たし、シィさんは人探しで来たのだ。 目的が違うのに一緒にいる理由はないし、別れるのならここが妥当だろう。

 互いに別れの言葉はない。 別段、友達でもなければ知り合いと言うにも弱い関係の僕たちにそんな上等なものは必要なかった。
 軽く手を振って挨拶に変え、踵を返す。 一歩を踏み出そうとして、けれど、僕の歩はそこで止まってしまう。

 「ん?」「あれ?」

 同時に漏れた僕とシィさんの声。
 そこに内在する感情も同様で、未知に対する警戒、だった。

 「もしかしてそっちも?」
 「うん」
 「となると見間違いってことはなさそうだねー」

 のんびりとした口調で言いながら、シィさんは警戒の度合いを数段階引き上げたのだろう。 すっと目が細められ、周辺に視線を走らせる。 それは僕も同様で、ついでに索敵スキルを発動してまで周辺警戒に臨んだ。

 「よくわからないけど数は13。 いける?」
 「任せんしゃい!」
 「……言っておくけど、最悪の場合は放置して逃げるよ?」
 「うわ、ひっどー」

 任せろと豪語したのは一体誰なんだろうね? まあ、とか言いながらシィさんに緊張は見えないから、きっと問題はないのだろう。
 攻略組を抜けたところで攻略組の上位に位置していたその技量まで失われてはいないはずだ。 最悪の場合は逃げるけど、最悪でなければ出来うる限りの最善を尽くすとしよう。 知り合いがいなくなってしまうのは目覚めが悪いわけだし。

 はあ、と嘆息しつつ索敵に反応しているカーソルを見る。 ピンクの色合いと言うことは強敵ではないだろうけど、それにしたって圏内にモンスターが出てくるのは異常事態だ。
 いや、ここは既に()()()()()()()()()。 だから、モンスターが出るのも不思議ではない。

 それこそが僕とシィさんが別れるのをやめた理由だ。
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