暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
憂いの雨と陽への祈り
それは雨の止まない
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 アマリはそれはもうよく眠る。
 起こさなければ丸々1日寝っぱなしなんてこともあるから恐ろしい。 長い睡眠の習慣がない僕からすれば羨ましいようなそうでもないような、微妙なところだけど。
 だからと言うわけでもないけど、アマリを起こすのは気が引ける。 気持ち良さげに眠る彼女はいつもよりも遥かに穏やかな顔をしていて、気の抜けた表情は普段のような演技のない、きっと素のアマリなんだと思う。

 アマリが《アマリ》と言うキャラクターを演じていることは知っている。 それは彼女自身の意思であり、正しいのか間違っているのかなんて部類の話しでもない。 ただ、アマリはそう言う生き方しかできないだけの話しだ。

 閑話休題。

 攻略組から謹慎を喰らって追い出された僕にしなければならないことはない。 レベリングも最前線への立ち入りを禁じられているから効率よくできないし、高効率の狩場は人気があって行きたくないのが本音だ。 僕の悪名は色々なところで広まっていて、自業自得とは言え悪意ある視線に晒されるのを歓迎するほど変態ではないつもりでいる。
 もっとも、禁じられているのは75層への立ち入りであって、本気でレベリングする気があるのなら74層の迷宮区にでも潜れば済む話だ。 あるいは効率のいい隠しダンジョンでもいい。
 それをしないのは今の謹慎を利用して少しでも羽を休めたいからだ。 正直に言えばサボれる時にサボっておきたい。 なにしろ75層の攻略が難航するのは目に見えているし、いよいよボス攻略の段になったら僕たちに声がかかるだろうから。

 「そうなったらのんびりしてもいられないからね……」

 眠るアマリの髪を撫でる。 桜色の髪は柔らかくて、絹のように滑らかだ。
 この程度では起きないだろうとアマリに向かい合う形でベッドに倒れ込む。 右手をアマリの頬に当てながら、顔が緩んでいるだろうことを自覚した。
 アマリと出会ってもうすぐ2年。
 結婚したのは攻略が10層の頃だったから、そっちももうすぐ2年になる。 今まで色々あったし、これからも色々とあるんだろうけど、僕たちの関係はどうやら普通とは少し違うらしい。
 関係、と言うよりも違うのは進展具合、か。

 一緒のベッドで寝ながらも色めかしいことは何も起こらない。 手を繋いで眠るだけ。 起きててもそれ以上と言えば抱きつかれたり膝枕をされたりくらいのものだ。 キスは当然まだだし、その先なんて進む気配すらない。
 そう言うことがしたいのかと問われれば、確かにしたい。 興味がないと言えば嘘になるだろう。 これでも僕は思春期真っ盛りの男の子だ。 その手の情動がないところまで枯れ果ててはいないと思う。

 眠るアマリは無防備だ。
 普段だってドキドキするけど、今は普段以上にドキドキしている。

 ずいっ
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