暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
憂いの雨と陽への祈り
それは雨の止まない
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と身体ごと少しだけアマリに近付ける。 吐息がかかるほどの近距離。 アマリの寝息が僕の髪を撫で、心臓は壊れたのかと思うぐらい跳ね回っているような気さえする。 きっと現実の僕の心拍数はとてつもないことになっているだろう。
 別にこのまま口づけをしようとは思っていない。 断じて……嘘、少ししか考えていない。
 でも寝込みを襲うなんて卑劣な真似なんてできるはずもなく、これはそう、予行演習なのだ。 来るかどうか定かじゃないけどいつか来るかもしれないその時のための予行演習。 だから疚しい気持ちはちょっとだけあるにはあるけど何をするわけでもなく見てるだけであって、チキンと言われるのは甚だ不本意だけどそれはまあ確かに相応の評価かもしれないなーとか思ったりもするわけで、まつ毛の長さにちょっとドキッとして薄い唇を見てるととんでもなく邪な気持ちになってきたり……って、僕は一体何をやっているのだろう?

 ショート寸前の思考をなんとか纏めて身体を引こうとした。 やっぱりこれは卑怯な気がして、なにより僕の精神が持たない気がして身体を引こうと、そうした瞬間。

 「あ」

 アマリとばっちり目が合ってしまった。

 いつものように緩々と覚醒するのではなく、まるでロボットにスイッチが入ったかのような淀みない目覚め。 開いた目が僕を捉え、そして自身の左頬に添えられた僕の手を実感し、現状を素早く認識したんだろう。 目覚めてすぐの目が丸く見開かれる。

 ベッドに2人。 息が届くほどの近距離。 僕の手はアマリの左頬に添えられている。

 誤解をするには十分すぎる材料が揃っていて、そしてアマリはきっと正しくそう誤解する。 だから僕は必死になって言葉を重ねるのだ。

 「ちょ、違うからね! そう言うんじゃないからね! そりゃそう言う気持ちがなかったのかと言えばあったけど、でもちゃんと思い直「ふぉ……」

 アマリの声が僕の必死の弁解を遮る。
 その身体はわなわなと震え、爆発一歩手前の様相だ。

 否、爆裂一歩手前、か。

 「あ、アマリさん?」
 「ふぉ、ふぉ……」
 「ふぉ?」
 「フォラスくんのアホーーーーーーーーーーー?」






 「はぁ……」

 吐く息は重い。
 あれから完全に覚醒したアマリは予想通りと言うか状況的に当たり前と言うか、とにかく僕の行動を誤解して、その鍛え上げた筋力値による剛腕を披露してくれた。
 具体的に言えばグーでドーンだ。
 咄嗟の判断で爆裂を使っての殴打は痛みがないはずなのにとてもとても痛かった。 なにが痛いって、こう、心が?

 なにはともあれ原因は僕にあって、殴打した張本人は顔を真っ赤にしてよくわからない言語を捲し立てながら、要約すれば『ケダモノ変態痴漢猥褻魔! ああもう別居だ
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