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幻影の旋律
桜色再び
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そんなリンの疑問を察したようにアマリは笑う。 緩い笑みでも狂気の嗤いでもない、普通に普通の苦笑い。
「その予想は正解ですよ」
纏う空気がガラリと変わった。
人格が変わったと言われても納得してしまうだろう、そのレベルでの変容。
「けれど、その先の結論はここでは明かしません。 だから答え合わせはここではしないでおきましょう」
くすくすと笑ってアマリは……否、少女は言う。
「いつもの私では会話を成立させることができないので、あくまで暫定的な処置です。 まさかその程度の差異に気付かれるとは思っていなかったですけれど……私は貴方を過小評価していたようですね」
「……何か言っておきたいことがあるのか?」
「察しが良くて助かります。 話が早いと言うのはいいですね。 ええ、貴方に言っておきたいことと言わなければならないことがあります」
会話を成立させていなければ答えに行き当たることはなかった。 答えに行き着かれてしまう危険を冒してまで会話を成立させた理由はひとつだけ。
会話を成立させなければならなかったのだ。 本人曰く、言っておきたいことと言わなければならないことを言うために。
「言っておきたいことは感謝です。 機会を握り潰さないでいてくれてありがとう。 これで彼は折れることなく前に進めます」
「そっちこそ察しがいいな」
「むしろフォラスがどうしてそれを察することができなかったのか不思議ですよ。 貴方の交友関係。 貴方の立ち位置。 性格。 そして、貴方の相方さんのあの善良さを考慮すれば答えはひとつしかない。 だからこその感謝です」
「本当は迷った、と言っても感謝するのか?」
「ええ。 それでも貴方は手紙を届けてくれた。 フォラスに機会を与えてくれたのは相方さんでしょうけど、それを持ってきてくれたのは貴方です。 だから、ありがとうございます。 相方さんにも感謝していたと伝えてください」
「ああ、わかった」
重要な語句をいくつか省いての会話は、しかし完全に互いが理解している。
故に余計なことは言わないし、余計なことも聞かない。
少女はリンに感謝して、リンはその謝辞を受け取った。
「言わなければならないことは、そう……謝罪、ですね」
「攻撃したことか?」
「それもありますけど、それ以外にもあります」
微妙に口が重いのは言いにくいことなのだろう。
確かにリンに対して謝らなければならない罪状はいくつもある。 全てを許すほど聖人ではないが、かと言って謝る意思を見せている相手を責め立てるほどリンは悪辣でもなかった。 それを一般的にお人好しと言う。
「構わんさ。 実害はあったが幸いにして大事にはなっていない。 これ以上あの時の話を蒸し返すわけに
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