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ソードアート・オンライン -旋律の奏者- コラボとか短編とかそんな感じのノリで
幻影の旋律
桜色再び
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気がついていない。 隠蔽スキルを発動すれば発見されることはないだろう。

 殆ど反射と言っていい思考を差し挟まない動作で隠蔽スキルを発動する。 攻略組の中でもトップクラスの熟練度を有する隠蔽は、視覚だけでなく聴覚や嗅覚すらも欺き、リンの存在を隠してしまう。
 それでも動けば隠蔽率は下がるし、音を立てればそれも同様だ。 そのまま緩やかな動作で音を立てず、けれど出来うる限りの迅速さを以って後退を始めた。 背を向ける度胸がないことを、しかし相手がソレであれば臆病者とは言えないだろう。

 一歩一歩確実に後退するリン。 少しずつ遠ざかるソレの後ろ姿を見て安堵しつつも決して気を抜かず、後数歩でソレが視界に収められる範囲から脱しようと言うその刹那……

 「あっはぁ」

 グリンと、ソレの首が翻った。

 まだ80%すら下回っていない隠蔽率を確認する余裕も、何故その状況下で気が付いたのか思案する余裕もない。
 全力の跳躍。
 後方に跳んだ瞬間、リンが先程まで立っていた場所にソレの拳が突き刺さった。 派手な動きをしたことによって著しく低下した隠蔽率は瞬く間に0を表示し、隠蔽が解除される。 紫色のウィンドウが煌めく地面を見下ろしていたソレの視線がリンを射抜き、その頃にはバックステップで大きく距離を置いていた。

 ここまで逃げればもしもの時に反応できるだろうと身構えたリンだったが、意外なことに追撃はなかった。

 「あはー、リンにーさんだったですかー」
 「…………」
 「そうとは知らずまたぶっ殺しちゃうところでした。 うにー、反省です」

 やはり反省の色はない。
 2度目ともなれば耐性もできているのだろう。 リンの持ち直しは早かった。

 「どうして、攻撃してきた?」
 「うー、なんかコソコソ覗き見されてる感じがしたからですよー」
 「……それだけか?」
 「です。 あ、でもここは圏内だからぶっ殺せないんでした」

 反省、ともう一度繰り返してソレはぺこりと頭を下げた。

 「また会えて嬉しいです、リンにーさん」
 「あ、ああ」
 「リンにーさんは嬉しくないですか?」
 「正直嬉しくはないな」
 「あはー、正直者ですねー」

 呆れたように笑いながら、ソレ??アマリは一歩リンに近付いた。
 今度はリンも逃げなかった。






 「迷子?」
 「です」
 「確かにこの辺りは入り組んでいるからな。 迷子になっても仕方ない、のか?」
 「ふぉろーに失敗してるです」

 真面目腐って言うリンと気にした風もないアマリ。
 よくよく考えるまでもなくおかしな組み合わせの2人は談笑しつつアルゲードの路地裏を歩いていた。
 聞けばあてもなく散歩をしていたらしい。 彷徨うアマリを放置
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