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幻影の旋律
恐怖のお胸様事件簿
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《鍛冶師の願い》
隠しクエストであろうそれの舞台である広大なダンジョンの安全地帯で、僕たちは合流後2度目となる休憩をしていた。
クエストボス戦の前に連携を確認する必要があり、その一環として中ボス戦を何度か繰り返して流石にみんな少し疲れた様子だ。 問題の連携は解決策が見えないままで、そんな調子での戦闘は可視化可能なHPではなく、精神をガリガリと削っていく。 そうでなくともここの中ボスは普通に強いので、その点でも疲労の蓄積が早いのだ。
「結局、最後まで連携は機能しなかったな……」
「……もういっそ、連携しないって言うのはどうかな?」
「戦力を分散させると言うの?」
「それもありかなーって。 できない連携を無理にしても危険になるだけでしょ?」
「一理あるが、それの危険性は勘定に入れてあるんだろうな?」
軽い調子の僕を一瞥して言うリンさんの懸念はもっともだ。
敵がどの程度の強さなのかわからない現状で、戦力の分散はあまりに危険な賭けと言っていい。 それでもメリットがあるのは確かで、それも理解しているからこそ懸念を口にしても否定はしないのだろう。
クエストボスのケクロプス。 ケクロプスに従う四天王。
リンさんから齎された情報を考慮に入れれば、この後に戦うのはこの5人だと思う。 もちろん、リンさんたちすらも知らない新たな敵が追加されている可能性もあるし、たとえそうでなくとも5人が強化されている可能性だってあるのだ。
分散のさせ方を間違えれば相当に危険な目に遭うだろう。
「で、どうするのかな?」
「やっぱり私に押し付けるのね……」
「僕は指揮官って柄じゃないからね。 それに僕はリンさんたちの力量をよく知らないし、リンさんも僕たちの力量は知らない。 どっちともと共闘の経験がある人に任せるのが良いと思うけど?」
むう、と唸りながらも文句を言わずにクーネさんは思考に埋没していく。 微妙に白い目を向けているリンさんをスルーして、僕もまた思考の海に漕ぎ出した。
が……
「うぅー、フォラスぅ……」
珍しすぎる呼びかけに思考が一瞬で停止した。
見れば、アマリはいつもの《アマリ》ではなく、僕の前でさえ滅多に見せようとしない普通に普通の女の子に戻っていて、しかも目には涙すら貯めている。 普段であれば突進(突貫でも正解だ)と形容するべき熱烈なハグも今は大人しく、僕の首に抱きつくだけで済んだ。
何事かと首を捻りながらも、この状態は色々とまずいので手早く事態収拾に動くとしよう。
「どうしたの? そっちでいるなんて珍しいね」
「うぅー……」
僕の首に縋りついたままブンブンと首を振るアマリ。 状況が全くわからない僕にはどうしようもないと周囲に助けを求めようと
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