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幻影の旋律
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でしておこう。
「僕は僕の敵に容赦をしない。 僕の敵になり得る人間は排除する。 たとえそれで攻略組から追放されようと、クーネさんたちの敵になろうと、僕の意思は揺るがないよ」
ひとつ息を吸って、僕は最悪の言葉を投げた。
「僕はもうここまで破綻してるんだ。 だからもう、友達ごっこは終わりにしよう」
クーネさんが伸ばした手から逃げるように立ち上がって、僕は最後の言葉を突き刺した。
「さようなら、クーネさん」
「……って言う話しをしてただけだよ。 誓って浮気なんてしていませんとも。 だからとりあえずそれを降ろしてくれないかな?」
オレンジ色のカーソルを頭上に灯したままのアマリが、そこでようやく構えていた《でぃーちゃん》を降ろしてくれた。
クーネさんを安全地帯に放置して他のメンバーと合流した時点でリゼルさんたちは何があって何を話していたのか察してくれたらしく、無言のまま来た道を引き返していった。 クーネさんを回収しに行ったのだろう。
空気が読めないのか読まないのか定かではないヒヨリさん辺りは何があったのか僕に聞こうとしていたけど、リンさんがその首を掴んで引き摺って行ったので説明する手間がかからなかったのは幸いだった。 リンさん、グッジョブ。
これでクーネさんたち《片翼の戦乙女》からは敵対視されるだろうし、リンさんたちからも同様だろう。 平穏無事な幕引きとは言えないものの、これが最も後腐れのない方法なのは確かだ。 僕のような異常者は、健全なあの人たちの敵でなければならないのだから。
あの人たちの敵になるだけであって、僕の敵ではない。 救いがあるとするならばそれくらいだ。
「それにしてもアマリ。 ずいぶんなイメチェンだね。 何か心境の変化でもあったの?」
自業自得でしかない微妙な気分を変えるようにアマリに問いかける。
それを抜きにしても合流した時からずっと気になっていたので、ここで聞いてしまいたかっただけだ。 決して思考放棄ではない。 なんて、誰に向けているか定かでない言い訳を構築しておこう。
いや、だって気になって仕方がないと思う。
アマリ自慢の桜色の髪が初めて会った頃のような黒になっているし、僕が仕立てた覚えのない丈の長い白のワンピースを着ているし、夏でもないのにつばの広い麦わら帽子まで被っているのだから、気にならない方がどうかしていると言っていいはずだ。
淡い桃色のストールカーディガンを羽織った姿はどこかの令嬢のような上品さを醸し出していて、シンプルな仕立てのワンピースと大人しめのミュールがそれに拍車をかけている。 惜しむらくは素足ではなく白いストッキングを履いていることだけど、そんな些事がどうでもよくなるくらい
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